第12話:紅の許婚。
さてオーニガシマ国では行方不明になってる紅姫が人間界にいるってことが
判明したことで紅の許婚が人間界にやってくることになったらしい。
その許婚の名前は「
その名前の通り格好や外見だけで中身が伴わない紳士や学生のことを
「テンプラ紳士」とか「テンプラ学生」と揶揄するように彼もご多分にもれず
テンプラな鬼なんだろうかって想像してしまう。
まま紅が気に要らなかったんだから、おおよその人格は知れてるだろう。
ある日のこと俺は厨房で紅は接客に、じいさんはお昼寝してる時に店を訪ねて
一人の男が・・・いや鬼がやってきた。
「お邪魔・・・」
「いらっしゃい・・・」
そこまで言った紅はそいつを見て固まった。
「おお、紅姫・・・ビンゴだったぞい・・・探し当てた通りこの店にいたんだ」
「天婦羅・・・まじで?」
「もしかして私を連れ戻しに来たんですか?」
紅の声が高ぶってるのを聞いて俺は厨房から店内に出て行った。
「紅・・・お客さん?」
「福ちゃん・・・どうしよう」
「なになに?お客さんじゃないの」
そう言いながら訪ねて来た人を俺は見た。
そいつは小太りで背が低くなんとも情けなさそう顔をしていた。
で、よく見たら頭に角が生えてるじゃん
「まさかの鬼?」
その鬼を見て俺はピンと来た。
そいつは紅の許婚でオニーガシマ国から紅を迎えに来たに違いないって。
「紅・・・この人?・・・この鬼は?」
「天婦羅童子っていう私の許婚・・・じゃなくて無理やりくっつけられそうに
なった人・・・てか鬼」
「はっきり言って許婚じゃないし・・・」
「紅姫・・・私はなたのご両親のお墨付きですよ」
「もう決められた縁なんですから私と一緒にオニーガシマ国へ帰りましょう」
「そこのお兄さん紅姫がずいぶんお世話になったようですが・・・」
「気の毒と思うが紅姫は私の許嫁・・・あんたに渡すわけにはいかん」
「なに、言ってるの・・・そんな勝手な」
「私は帰らないからね・・・テンプラさんひとりでとっとと帰って」
「あのね、私と福ちゃんはもう切っても切れない仲になっちゃってるの」
「とっくに契りを結んでるし・・・」
「おえっ、契りだと・・・なんてことを・・・しかも人間風情と」
「風情たぁなんだよ・・・失礼なやつだな、テンプラ」
「やかましい、おまえが全部悪いんだな人間め!!」
「死んでしまえ!!」
そう言うと
雷なんか食らった俺は感電してバタンキューで一瞬にあの世に行ってしまった
・・・あっけなく。
「キャ〜〜〜〜〜福ちゃん」
「テンプラ、なんてことするの、バカ」
そう言って紅は俺に駆け寄った。
「福ちゃん、福ちゃん・・・大丈夫?」
「まずいよ〜福ちゃん息してないよ・・・死んじゃってるじゃん」
「これで思い残すことはなかろう・・・相手がおらんではな」
「それって逆だよ・・・こんなことして私がオニーガシマ国に帰るって思ってる?」
「もう、あんたとは完全絶縁・・・顔もみたくない」
「とっととオニーガシマ国に帰って!!」
「だが、その男が死んでおるでは他に選択の余地などなかろう?」
「あるよ・・・私、黄泉国まで行って福ちゃんを連れ戻して来る」
「そのようなことはできるわけなかろうが・・・」
「できるよ・・・黄泉国なら一度いて行ってるからもうなんなくいけるよ」
「だが、一度死んでしまった者を生き返らせることなどできんぞ?」
「神様でもな」
「あるよ・・・一つだけ方法が・・・でもあんたには教えない、絶対」
「テンプラバカ・・・オニガーシマ国に帰らないと。今度はあんたが死ぬ
ことになるよ」
「こっちには前鬼の兄さんと後鬼の姉さんがついてるんだからね」
つづく。
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