第4話:騙したなばあさん。
「お願いします、おばあちゃん」
「福ちゃん、福ちゃんが来ないなら私ひとりでも玉を取り返しに行くから」
「紅姫ちゃんひとりじゃ無理だね」
「私、負けません・・・これでも鬼ですから」
「そう言う意味じゃなくて・・・女妊洞はひとりじゃ通れないんだよ」
「あ、そうか玉がなきゃ通れないんだった」
「そうじゃなくて・・・玉はなくても通れる・・・ただしひとりでは無理じゃ
って言っとるんよ
玉がなくても男女一緒ならここは通れるんじゃ」
じゃから福ちゃん?が紅姫ちゃんと一緒じゃなきゃ女妊洞は通れんよ」
「そうだって・・・福ちゃん」
「ばあさん・・・カップルたって・・・ただの男と女じゃダメなんじゃないのか?」
「好き同士とか恋人同士とかじゃなきゃ通れないってのが、だいたいパターンだろ?」
「試してみりゃよかろう?」
「相思相愛じゃのうてもどっちかが想いを寄せておれば通れるはずじゃ」
「そうか・・・片想いでもいいのか?・・・そうなんだ」
「まさかこんなところで自分の気持ちを告白する羽目になるなんて思いも
しなかったわ俺・・・まあしゃ〜ないか・・・」
「紅・・・白状するけど・・・俺、紅のこと好きだ」
「一緒に暮らしてるうちに、たまんなく好きになってた」
「まあ、おまえの気持ちは置いといたとしも、このさい俺の気持は告っとく」
「片想い宣言したから、これで洞窟通れるだろ?」
「ちょっと待って、福ちゃん・・・片想いって・・・」
「そんなことないよ・・・だって私も福ちゃんのこと大好きだもん」
「今まで恥ずかしくて言えなかったけど・・・私、福ちゃんのこと愛してるよ」
「え?まじで?」
「お〜お・・・ノロケかい」
「別にカップルじゃのうでも、ひとりでもと折れるわ、アホが」
「なんだって?・・・ってことは?なにか?ばあさん俺たちをハメたのか?」
「ようするに黄泉国からは身護守玉がないと通れんが黄泉比良坂からは、
なにもなくても普通に通れるんじゃ」
「ダマされおって」
「まあいいんじゃないか?これでお互いの気持ちがはっきりしたではないか」
「まあな・・・紅、俺たちどこへ行くのも一緒だ」
「うん、福ちゃん」
「あんたら、どうしても
つもりか?」
「うん、
「
「あいつはなんでも何千年も昔この
「とりあえずヨモツシコメの屋敷の近くまでは連れて行ってやる」
「ただし
橋もかかっとらんからそのままで屋敷には行けんからな」
「とにかく近くまででいいから連れってください、おばあちゃん」
「んじゃま、ついてきな」
そう言うと婆さんは平気で女妊洞に入って行った。
「ほれ、ついてこい」
ってことで俺と紅はばあさんについて女妊洞におそるおそる入ってみた。
「なんか通れてるみたい・・・大丈夫にみたいね、福ちゃん」
「なんか大袈裟なわりに拍子抜けだな」
俺と紅は正塚婆(しょうづかのばば)のあとについて女妊洞を抜けて行くと
明るくて開けた場所に出た。
「このが
「黄泉国に入ったからは
つづく。
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