2章 高校生活再び?

何故か絡んで来る三人の美女

第19話 やりたい人がやれば良くない?

「よう綾人!!!いい朝だな!!!!!」


「……ウルセェ朝なんていっつもおんなじだろうが…ってかもう大丈夫なのか?体調は」


「勿論だ!ほら見ろ!もうピンピンしてるぞ!」


 そう俺の玄関前で暑苦しいポージングを決めている勇次を見て、俺はぐったりしながら通学路を歩き出す。


 昨日は桃月食堂を出てから直帰し、即寝た。グッスリだ。しかし熟睡しすぎたのが良くなかったのか、今日は起きれずに勇次のピンポン連打で起きる事になったのだが…まあいいか。


「そういえば今日学級委員決めるんだったっけか、綾人は何かやるのか?」


「いや、何にもやらねぇよ。委員会なんてやってたら帰りが遅くなっちまうだろーが」


「まぁそりゃそうだけどよ〜折角の高校生活なんだぜ?やってみてもいいんじゃねーの?」


 そう勇次は俺に言ってくるが…俺としては極力面倒なことはしたくないので、全く乗り気ではない。

 そうやるやらないの不毛な争いをしつつ俺達は教室に辿り着いた。


 相変わらずクラスメイト達から挨拶されている勇次を横目に、俺は自分の席へと向かう。


「おはようございます辻凪君。ふふっ…今日も少し眠そうですね」


「あっ美白さん…おはよう…やっぱりわかります?」


 俺が眠そうに席に着くと、自分の席で本を読んでいた美白さんが本を置き、柔らかい朝日のような完璧な笑顔で声をかけてくる。


「えぇハッキリと♪…そういえば今日は委員会決めですね、楽しみです♪」


「…?美白さんは委員会に入るの?…俺は正直面倒だなぁ…」


「?えぇ、というより…もうはもう決まっているのですが…(気がついていなさそうですし…ここは教えない方がいいですかね、その方が面白そうですし…)」


 何やら美白さんが小声で言っているようだが、俺は眠かったので机で少し眠ることにした。


〈〈十数分後…〉〉


「よーしお前らホームルーム始めるぞー!席につけー!」


 ガラガラとドアを開け、チャイムの音と大きな声と共に教室に入ってきた元木先生の声で起こされた俺は、机から体を起こして黒板の方向を見る。


「今日のホームルームと一限目は委員会決めをするぞー立候補は歓迎なので、やりたい奴は挙手するように!」


 そう元木先生はクラス全体に言うが、俺を含め全体的には乗り気でないものが多いようだ。


「じゃあ先ずは学級委員だが…えー美白、宜しく頼むぞ」


「はい、お任せ下さい先生」


 そう元木先生に指名された美白さんは、クラス中が見惚れるような雰囲気を纏いながら教壇へと歩いていく。

 …本当に美人だな…あれだけの視線を毎日受けてると考えるだけで俺は胃が痛くなるな。


「よしありがとうな。…じゃあもう一人だが……」


「はいはい先生!もう一人って男だろ?じゃあ俺が立候補するわ!」


 そう先生が言う前に手をあげたのは、クラスの中でも勇次と1、2を争うレベルのイケメンの木本君…だったか?が立候補として挙手する。

 するとクラスメイト達は口々に「お似合いの二人だ」とか「小柳くんか木本くんしか居ないよね〜」と先生は何も言っていないが、あたかももう決まったような雰囲気だった。


 …俺としては正直美白さんにつられて立候補だろうがなんだろうが、実際にやる気を出している彼は別にいいと思う。

 しかしこのクラスの悪気は全くないだろうこの雰囲気は、俺の中では全く良くない空気だった。


「あーすまない木本。実はもう学級委員は決まってるんだ。実は前期の学級委員は成績順で決まっててな、お前の気持ちは嬉しいんだが他の委員をやってくれるか?」


「な、なんだよそれ!じゃあ俺は美白さんと学級委員が出来ねぇって事かよ!」


「まぁそう言う事だ、すまんな。じゃあもう一人の学級委員呼ぶぞー」


 …なんだ最初から決まってたのか…なら俺は安心だな。なんたって俺は一番になれなかった次席だし………あれ?そういえば首席って………


「えーもう一人は…辻凪ーお前だ!早くこい!」


 ………嘘だろ?



「「「「「「「「「「ジーーーー」」」」」」」」」」


「…チッ…クソが」


 …滅茶苦茶見られてる…あの後渋々教壇に行ったはいいが、クラス中から見られてるような気がするし、さっきの木本君に関しては俺のことめっちゃ睨んで舌打ちしてきてるし…俺は正直やりたくないんだけどな…胃がキリキリしてきた…

 別にやりたい木本君にやらせれば良くないか?


 しかもさっきから先生の横で美白さんと並んでいるんだが……


「〜♪」


 …俺のすぐ横、少しでも動けば肩が触れ合ってしまいそうな距離に、何故か上機嫌でニコニコな美白さんが俺に近寄って来て立っている。

 なんでこんなに近いんだ?もう少し離れるのが普通なんじゃないか?


 それと勇次何笑ってんだ。前からは丸見えだぞお前……はぁ……


 そう俺が緊張と友への呆れで固まっていると、元木先生が声をかけてくる。


「あー辻凪、悪いが板書を頼む。それから美白は先生の話の後に他の委員会の司会を任せていいか?」


「分かりました♪お任せください元木先生」


「…了解です」


 そう俺達に言うと、元木先生は前を向いて生徒に話を始める。

 俺は先生に言われた板書をする為にチョークを取りに行こうとすると、小声で美白さんが俺に声をかけてくる。


「(二人で一緒に学級委員頑張ろうね、辻凪くん♪)」


 そう小声で俺に囁いてきた美白さんの顔は少し照れながらも、とても楽しそうな表情で満ち溢れていた。

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