3-12.事後
九訳殿での出来事から、翌月のこと。
――
一、帝が金丹を求め、
二、都へ輸送中に商人が不審な死を遂げた。後日、
三、
四、続いて九人会の評価で帝の
六、九訳殿に配給される油に、毒を仕込まれていた。神経毒を身をもって証明した
「失礼します、
文官が部屋に入ってくる。
「証言した男が、死んだようです」
「……そうか」
文官が報告したのは、
「ちなみに例の
文官の言葉に、
本当に悪いのは、はたして誰なのか。
直接的に手を下したのは拘束している男女の二人に違いない。彼らの自白により、古の民の
しかし、
とはいえ、その
いや、そもそも像を奪わなければ何も起きなかった。他人から強奪したのは賢妃の袁一族であり、それを欲して探すように命じたのは帝になる。帝の
周りまわって、因果は自分の手元にある。これは呪いではなく人災だと改めて実感した。
この『金銀を集めよ』との法律の施行を拒否することはできるが、金丹の研究は代々の皇帝からの悲願だから自分の都合だけで却下すれば理由を問いただされる。何より、却下するつもりがない。なぜなら
毒。
不老不死を求めて皇帝が勝手に死ねば、後宮の妃は代替わりすることになる。誰も罪に問われずに
「これを渡せ」
「そうだ、もう一つ頼まれてくれるか」
「はい、何でしょうか」
「例の男女を解放してやれ、不穏な動きはあったが、証拠がない。ただし、後宮には戻さずに都からは追放する」
「そうですか、承知しました」
「それと……これを
机の上の、一時的に書類の重りに使っていた銀色の像を指差す。
「地元の品らしい。彼らが持っているのがいいだろう」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「もう、いいのか」
書斎を訪れたのは
「門に飾るように言われてな、ちょっと持ってきた」
「……ありがとう。でも、それが何の花か知っている?」
「いいわ、花に罪はないもの。ねえ、
美しく咲いた、梅の花。
書斎が甘い香りに包まれる。
きっと香梅堂にも、満面の梅の花が咲いていることだろう。
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