3-6.神連れ1
カノ汪は闇を長メテ光と成リ
古ノ民は闇を眺メテ祭と成ス
闇ハ光ナシに在ザル、光ハ闇ナシに在ザル
神ヲ連レルは十三ノ死
神連レ、王魔、赤一重、麦ノ角、桂ノ枝、邪立、猫願、薄願、捻転
羊ト猪ト牛ノ背二、女ノ血酒
聖湯と成シ、厄サイを齎ス禁と成ル
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
書物を読んでいるのは
暗い眠りから覚めたところに、陽の光が目に染みる。目頭を押さえて、うつむく。それから髪をかき上げた。
「それで、どういう用事? まさか密教について学びたいわけじゃないんでしょ?」
「密教とは違うが秘密の教えを知りたい事情が、あるにはある」
そう言って
――神ヲ連レルは十三ノ死。
たまたま昨日に届けられたばかりで、次の日になって
「見慣れない形状だが、それと似ているのに見覚えがある。前からここにあったのか?」
「あら、知りたいの?」
「なんだ、意地悪だな」
「どうしてここに来たのかって、まだ答えてもらっていないから」
「後宮で
「ふうん、そういう事情があるのね。もし、これは町で気に入ったから買ったと言ったら?」
「まさか」
「そんな不気味なのを買う趣味があるとは思えないが……いや、君なら有り得る」
「まあ、酷い」
こう返しつつ、
「君がわざわざ徹夜しているのだから、ただの置物ではないだろう」
この
「忍び寄るのが、上手ですこと」
「仕事柄だな、君と一緒だ。それで、何か分かったのか?」
「話せば長くなるんだけど……ちなみに、これを誰が探しているのか先に聞いてもいいかしら?」
「それを知れば、厄介な事情に巻き込むかもしれない」
なんて言うから、
「そんなことを言って、ここに来ている時点で、どうせ巻き込む気なんでしょ」
「察しが早くて助かる」
「ちなみに、誰が探しているの?」
「直接的には
「あら……本当に話が長くなりそう。ねえ、
「彼がいる間は、書斎に他の人を通さないようにしてくれる?」
「はい、既にそのようにしています。勉学に訪れた宮女は、今日は講師が徹夜なので別の部屋で自習するようにと」
「あら、気が利くのね。じゃあ
「はい、承知しました」
「……あなたじゃなくて、大きい方の
「あ……すみません、これは失礼しました」
再び書斎に戻ってから、
――古の民が祭っている、十二体の神託の像のこと。
――神託の像には、幻とされている十三体目の『
――それを、帝が不老不死のために欲しがっていること。
目の前にある銀の像が、幻の十三体目である『
不老不死を求める
目の前にある『
「まだ十二体の全てを探し当てたわけではないが、全部が揃ったら金丹にするために溶かすつもりだと聞いている」
「……呆れた。物の価値を知らないと、そういう行動になるのね。金が腐らないからといって食べた人間に同じ効果を
「木はいずれ腐るからな、
「だとしても愚かには違いないの。だって、これはもっと別の目的に使うのだから。神託の像について、どのくらい知っているの?」
「ほんの少し、せいぜい伝承くらい。君の方が詳しいだろうから、教えてくれると助かる」
「それじゃあ、前みたいに一つずつ説明しましょうか」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます