Chatting talk


 雑談という言葉がある。

 今度は何だと思った方、少し待って欲しい。雑談という単語を辞書で引いてみてはどうだ。面倒くさいという人のために、私が代わりに教えてあげよう。かなりかいつまんで表現するが、雑談とはこう記されている。

 【さまざまな内容のことを気楽に話すこと。また、その話。とりとめのない話】

 これが雑談の意味だ。使い方としては「友人と雑談をする」「雑談を交わす」等の使い方をする。

 さぁ難癖の時間だ。今回ばかりは自分で難癖と言ってしまおう。認めようじゃないか、難癖だよ。

 雑な談とは何だという話だ。

 よく考えて欲しい。日常における雑談、諸君らが普段行っている雑談を思い浮かべて欲しい。結構重要な事を話したりしていないか?

 最初は何気ない会話から始まりこそすれ、その会話はやがて重要な話題へとシフトチェンジして行ってはいないか?

 そんな重要な話を雑な談と表現するとはなんたる事だ。突き詰めれば世の中に無駄な話などない。つまり雑な会話などない。いつだって人と人が交わす言葉には思考があり、意志があり、そして想いがある。にも関わらず、雑談などという言葉で括るのは如何なものかと私は言っているのだ。

 ちなみに「談」の意味は【まとまりをもった内容のことを口に出してしゃべること】だ。我々は常に有意義な談を行っている。「雑」の意味は分かりきっていると思うので割愛する。雑に流させてもらおう。

 要は我々が行う日常会話、友人や恋人、家族や職場の同僚と行う日常会話を「雑談」と表現するのが気に食わないというだけの話だ。そう、難癖だ。既に存在し、誰もが自然に使用している単語にわざわざちょっかいをかけているだけだ。

 しかし一理あるとは思わないか?

 我々の話す言葉、つまり意思や想いを雑と表してもいいものか?断じて否だ。私達の放つ言葉は全て意味のあるものばかりだ。美しければ美談、面白ければ冗談、商売の話をするなら商談、怖い話をするなら怪談、いやらしい話をするなら猥談、悩みを話すなら相談だ。

 なら雑な話をしたら雑談になるのか?いいやならない。何故なら何度も言うように雑な談など存在しないからだ。全ての談は何かしらの意味を持ち、人の気持ちを揺るがすものだ。

 気軽に「雑談」なんて言葉を使うものじゃない。気軽な話をしたいなら「軽談」という言葉を使えばいい。無論そんな言葉が存在しないのは承知している。なければ作ればいいだけの話だ。造語ってやつだ。昨今において造語はめずらしくもなんともない。流行に乗った造語が翌年の辞書に追加されるなんて事はよくある話だ。従って私は今後気軽な話をするときは「軽談」という言葉を使うことにする。

 例によってこの話にオチはない。もともと思いつきで書いているこの難癖にオチなど求めるな。だからこの話はここで終わりだ。そして「軽談」という言葉が流行ることもないだろう。だからこの話はここまでだ。なんだまだ何かあるのか。その話は終わったんだ。That's doneだよ。

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