第20話 彼は首を傾げる(6)

「別に私は貴方のことをナンパしたい訳ではいです! 私は貴方のような顔の人は好みではありません!」と。


 私は彼に悪態をついた。


 本当は、彼の容姿は大変に好みだけれど。


 彼は数日前に、お会いした時とは、性格の方が変貌しているから。


 私は彼の悪態ぶりに耐え切れなくなくなり。


 桃の精霊から魔王へと変化した彼へと呻り、吠えてやった。


『ワンワン』と。


 だからと言って、私の荒々しく高ぶった気の方は安易に収まる訳はないから。


「貴方はいつも、自分へと話しかけてきた女子が皆、自分に気があると思っているのならば。貴方は少しばかり自信過剰過ぎないかしら?」と。


 私は怪訝な表情で重たく尋ねると。


「……貴方の容姿は、自分自身で思っているほど容姿端麗ではないと。私は思いますけどね?」と。


 私は自信過剰な魔王さまへと。

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