第19話 彼は首を傾げる(5)

 それも最後には彼──。


 本当に大袈裟なぐらいのジェスチャーを、私の目の前で、身振り手振りで嘲笑い。


 自身のお腹を抱えながら。


「わっ、はははっ。お前、たいして可愛くもない癖に。良くもまぁ、俺の事をぬけぬけと逆ナンパしてきたな」、


「わっ、はははっ」と。


 もう、桃の精霊様のような彼ではなく、本当に頭にくる! ムカつく!


 そう!


 このクソ男子が! いい加減にしろ!


 黙れ! ゲス! と。


 私がこのような怒声を吐き!


 私の目の前の男子の頬を叩いてやりたいと思う、衝動に駆られ程の悪態を吐いてくるから。


 私の顔は赤鬼さまのように真っ赤に染まる。


 でっ、染まれば。


 今度は私の頭の頂上からドカーン! と火山噴火──。


 自身の脳内で、大変によい爆発音が響けば。


 その後は溶岩がタラリと流れ、落ちるから。

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