第14話 早咲き桜が咲けば(7)

 私は【早咲き桜】の並木を凝視する視点を目の前から、徐々に奥へと変えつつ歓喜、見惚れながら、独り言を漏らしつつ。


 私は無我夢中で、自転車のペダルを踏み、回し、速度を上げながら。


【早咲き桜】の並木の中を走り抜けていく。


 そんな様子の私の口から更に。


「わぁ~。綺麗。綺麗だぁ。桜の花が綺麗だぁ!」と。


 私は、今度は、自身の愛車を立ちこぎしながら。


 少しでも多くの【早咲き桜】の花と花弁が舞う姿が見られるように、背伸びしながら、周りの【早咲き桜】の花を見て堪能をした。


 そして本当に花達が綺麗だなと、私が心から思うと。


「あっ?」だ。


 私の口の中ら驚嘆が漏れる。


 まあ、漏れるとね。


「……ん?」と。


 私の耳に他人の声が、風と川の流れの音と共に、聞こえてきたような気がする。


 だから私は、自転車のペダルを回すのをやめ、停車をする。



 ◇◇◇

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