第13話 早咲き桜が咲けば(6)

 そう、私神童美月が天から舞い降りた、桃の精霊様と勘違いをしてしまうほど麗しかった彼の事を思い出す。


(……そう言えば私、あれほど彼とお話しをしていたのに。彼が何処にすんでいる人なのか。何処の中学校へと通われているのか。そして何年生なのかを尋ねる事をすっかり忘れていたな)と。


(ちょっと後悔するな)と。


 私は自身の脳裏で嘆きつつも。


 私に対して優しく微笑み、会話をしてくれた、麗しい彼が(元気になのだろうか?)と。


(私、もしかして? 彼に魅入り、一目惚れをしたのかな?)とも、私が春らしく、甘い恋心を抱き、想うぐらい。


【早咲き桜】の並木の花達は本当に綺麗に色づき。


 私を魅了してくれるから。


「わぁ~、凄い。凄い」、


「本当に綺麗。綺麗だね~。早咲き桜の花や花弁は」、


「特に花弁が風で散り。舞う時なんてぇ。まるで蝶が飛び、舞っているみたいで。本当に綺麗。綺麗だなぁ」と。

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