第2話 飲んで飲んで飲まれる
どうせ4対4のこぢんまりした合コンなのでまぁこの程度の挨拶でおっけーでしょ。
男性陣からの自己紹介も流して聞いて、一人ひとりに「よろしくお願いします」と愛想よく挨拶していく。
二人目三人目と自己紹介が終わって、最後の一人、端っこの席で独り飲んでいる暗そうな人が「僕は陣内。ただの数合わせです」と一言。
「あ、はい。よろしくお願いします。えっと、失礼します」
わたしの座る席はその数合わせさんの前しか空いていないのでそこに座る。ほか3組はなんとなくカップル(仮)になっているので割り込む隙がなかったのだ。
今日は捨てゲームだなと即座に判断して、残業ですっかりぺこぺこなお腹を満たすことにわたしは本日の主題を置くことにする。
つまみにはアンティパストとブルスケッタ。フリットゥーラ・ディ・カラマリも頼む。ワインという気分でもないのでビールもオーダー。後からお腹を満たすピザも頼もう。
ビールが先に来たので早速乾杯といきたいところだけど向こう側は既に盛り上がっているので中断させるのは申し訳ない。とすると、残るは目の前にいる陰キャな数合わせさんくらいしかいない。
「えっと、陣内さんは何を飲んでいるのですか?」
ちらりと視線を向けるが何も答えてくれない。
(聞こえなかったかな?)
「陣内さんは何をお飲みで「グラッパのハイボールです」」
「あ、グラッパ……お酒にお強いのですね」
聞こえているならすぐ答えろよ(イラ)、と思ったけどおくびにも出さない。そんなに嫌なら数合わせでも断ればいいのにねっ! わたしはもう面倒なのでひとりビールグラスをあおる。お疲れ様‼ わたし!
「ごめんねーこいつ口下手で無愛想だけどいいやつだから絡んであげてねー」
わたしの右隣に座る方、確か三谷さん、が陣内さんのフォローを入れる。が、すぐに隣の子に話しかけて向こうを向いてしまう。サチの連れてきたそっちの娘は今日がお初なので、素性がわたしにはわからない。特に気にもならないし。そっちはそっちでよろしくやってくださいなって気分。
さっ、注文の品が運ばれてきたので私は夕飯にありつくとしよう。
リモンチェッロ旨し!
カフェコレット初めて飲んだけど、コーヒーの香りが素晴らしい!
わたしは独りやることもなかったので、美味しいご飯ととりあえず飲んだことのないお酒を次々と頼んでは飲みまくっていた。どうせ男性陣の奢りだろうしね。
そうなるとどうなるかは自明の理で……。
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