第5話 遊ぶ暇を作って遊びましょう

 かつて出勤途上の電車内で、「遊ぶ暇があったら遊びましょう」という吊り広告を目にしました。一見ふざけているようですが、当を得た言葉であると感じ入ったものです。

 日本人は、一般的に遊び下手であると言われています。それではいけないという反省から、夏季休暇や年末年始休暇などを長期間取るようにはなっています。しかし、休暇の内容を見ますと、無為に過ごしている人が結構多いような気がします。休暇中に、職場に顔を出したり、家で仕事をする人もいます。1か月も避暑地などで過ごす欧米人とは、価値観、環境ともに全く異なっていると言っても過言ではないでしょう。

 様々な遊びをすることは、とても人間的な行為です。遊びは、好奇心を発揚する場であると同時に、好奇心を培う場でもあります。また、遊びに夢中になっている時、ふと自分の意外な一面を発見することもあります。そのようなことを通じて仕事以外の多くの経験を積むことにより、人間としての幅と奥行きを増すとともに、感性を豊かにすることができます。それによって人生をより意義深いものにできることは確かです。さらに、仕事の質を高める上でも、気分転換としての遊びが不可欠であると考えます。

 世の中の現状は、残念ながら、至る所が閉塞感で満ちています。このような時代であるからこそ、大いに遊び、人間本来の姿を取り戻さなければなりません。皆さん、遊ぶ暇を作って遊びましょう。

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