第016話 ノンちゃん


 残りのステ強化玉の整理と確認をし終え、スキルキューブの把握に移ろうとしたその時、


 ――ピローン♪


 ユノカからの連絡である。


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  【ユノカ】やっほーぃ


【タオ】おっほーぃ


  【ユノカ】なに、それw


【タオ】ユノカの真似w


  【ユノカ】いやいや、それ私じゃないから


【タオ】それより、どうした?


  【ユノカ】準備捗ってるかなーと心配で


【タオ】ん、心配?


  【ユノカ】んーもー、気分転換よ


【タオ】よしよし。正直に言えて偉いぞ。んで、そっちは?


  【ユノカ】ノンちゃんに進化玉つかったよ


【タオ】ん、クレイジーラビット?


  【ユノカ】そうそう


【タオ】名前を付けたの?


  【ユノカ】可愛いでしょ


【タオ】いやいや、見たこともないからイメージできないし


  【ユノカ】可愛いのにー。雰囲気的にそっちは名付けてない感じ?


【タオ】うん、してない。それに名付けに必要な魔力なんて俺にはない。キリッ


  【ユノカ】ああ、それねー。大量の魔力とステータスをかてに名付けをするヤツね


【タオ】そうそう。魔力はそのうち回復するけどー、ステータスの減少は正直キツ過ぎ


  【ユノカ】だよねー。ほんとそれでやってる人いるのかなー


【タオ】えっ!


  【ユノカ】ん、どうした?


【タオ】ユノカはー、名付けしたんでしょ?


  【ユノカ】もちもち。ノンちゃんを付けたよ


【タオ】ん、魔力とステータスを生贄にしたんたじゃー?


  【ユノカ】ん、しないしない。あ、もしやー知らないなー


【タオ】え、もしかして抜け穴とか。知らないんだけどー。ユノカ様、教えて下さい


  【ユノカ】よしよし。素直でよろしい。えーと、調べたら直ぐに分かることだけどーショップで売ってるよ。1個777万DPで


【タオ】お、マジかー、知らんかった。あんがと


  【ユノカ】知力が100アップするからね。やらなきゃー、損だよね


【タオ】えっ、マジ!


  【ユノカ】マジマジ。商品の説明書きに書いてあったよ。因みにーうちのノンちゃん、賢くなってお座りを覚えたよ


【タオ】知らなかったわー。ステータスが持っていかれる時点でスルーした


  【ユノカ】あっははー。タオらしいかもw。


【タオ】あ、そうだ。ノンちゃんって進化玉、何個だった? 因みに、ゴブは1個です。キリっ。


  【ユノカ】1個ってw えーと、ノンちゃんは10個よ。2進化以上したかったんだけどー足りなかったから1進化止まり


【タオ】いやいや。1進化に10個って、ヤバ過ぎだろ


  【ユノカ】強さこそ正義。っふふ。ノンちゃんの進化ために残りは使わずにしてるよ


【タオ】だよなー。ゲームじゃーないから、無双を目指すくらいが丁度良いかもなー


  【ユノカ】ですです。やるからには徹底気に。やられる前にやる戦力を整えないとね


【タオ】その通りで耳が痛い。やっぱりゴブ達の更なる強化に全力で挑むしかないかな


  【ユノカ】ん、ゴブの強化したんでしょ?


【タオ】したよ。一応、進化打ち止めまでね。それにプラスで、スキルキューブも追加しようかなって


  【ユノカ】なるほどー、そう言うこと。わたしはースキルキューブ、使ったよ。全部自分にね。ステ強化玉も。エッヘン


【タオ】だよなー。普通はー、そうなる


  【ユノカ】みんなも自分に使ってるよ。タオもー自分に使わないとだよ


【タオ】だよなー


  【ユノカ】そうそう。ダンジョンで負けても生きていればリベンジ出来るけど、死んだらそこまでだよ。私はーいざとなったら、ダンジョンを捨ててノンちゃんと逃げるよ


【タオ】逃げるかーでも、正解だな


  【ユノカ】そうそう。逃げるが勝ち。DPさえ貯まればー新しいコアを買って、またどこかでダンジョンの再スタートできるからね


【タオ】でもー、コア1個10億DPだよな


  【ユノカ】うんうん。高いよね。そうなったらー冒険者でDPを少しずつ稼いでいくしかないかな。でも死ぬによりマシだよー


【タオ】だな。予めコアをストックしておくのもー有りだな


  【ユノカ】だね。それがベストだと分かっててもーDPカツカツ


【タオ】カツカツってw んー、それにしてもどうしよー。ステ強化玉は大分使ったけどー、キューブは自分中心にしてー余ってるヤツをゴブに回すかな


  【ユノカ】うんうん。ん、サラッと言ったけどーキューブに余りがあるって、どんだけ被ったのよw ある意味、ヤバイからね


【タオ】ああ、それなっ。最初は打ちひしががれたけどなw


  【ユノカ】タオの方針も決まったようだからー、そろそろ私もダンジョン強化に戻るよー


【タオ】名付けーマジ、あんがとーな。付けてみるよ。またなー


  【ユノカ】私もあと数体ほど名付けしちゃおっと。っふふ。まったねー

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 とは言っても余ってるのは、『魔力操作』だけだけどね。


 それではやりますか。

 自分の強化。

 取り敢えず残りのステ強化玉を吸収していく。


 使用感もないので、当然、満腹感もない。 

 不思議なものである。


 んーと。

 一応目視で腕の太さを確認するが、変化は見られず。

 だよねである。


 アップ時に体の奥が熱くなるとか、もう少し何かしらがあっても良いような。

 でも痛いとかは嫌だけどね。


 しくは、ゲームでのアイテム使用時に効果内容がフワッと表示され、自然と消えていく視覚的効果とかがあると嬉しいところ。

 この世界の女神達のことだから、既に改善パッチが用意されてたりしてね。

 ならばガチャで当たることを祈るのみ。


 作業をそのまま進めようと思うが、ふと手を止める。


 んー。

 どうにかならんかな。

 この大仏様ポーズ。


 使用するステ強化玉を右手でタップ。

 取り出した玉を左手で受けて、吸収。

 それを繰り返す。


 疲れたのもあるが、辟易。

 ポーズがダサくて滑稽こっけいと言う訳ではないが。


 もっとスムーズ。

 ダイレクトに出来ればと思ってしまう。


 うんうん。

 ならばやってみよう。

 そもそも出来ないと決め付けるのは良くないな。

 

 早速、『ダン倉庫』内にある『体力』を選択して、『使用する』と意識してみる。


 ん!

 残数が1つ減る。


 出来てる?

 おお、出来るじゃん。

 あっけなく成功。


 ちょっと拍子抜けのような感じも無きにしも非ず。

 でも苦しむよりもは良きかな。


 ならタップもどうにかならないかな。

 何気にストレスかも。


 今現在『体力』が選択状態に。

 その隣の『魔力』を狙い、タップなしの意識のみでチャレンジ。


 んー。

 動きそうで動かない。

 むずい。


 でも動きそうならば動くはずである。

 歯痒い。


 直感を信じて続ける。


 んー。

 んーと。


 イメージをしっかりと自分に言い聞かせる。

 楽をするための努力は惜しまない。

 キリッ。


 んーんーと。

 為せば成る。

 信じる。


 「あっ、動いた!」


 やった。

 ふー。

 一度動いてしまえば、こっちのもん。多分だけどね。

 

 良いイメージが残っている内に、何度も繰り返す。

 すると要領を得てスムーズに選択できるように。


 それではと横へ。

 言わば寝転がった状態にだ。

 横着かもしれないが、何事も楽な状態が一番である。


 目の前には、2つの画面。

 勿論、1つはダンジョンメニューの『ダン倉庫』で、もう1つはステータス。


 2つを並べての寝ながら作業。

 疲れ知らずで、実に素晴らしい。

 位置を微調整して、ベストポジションに。


 若干じゃっかん、脳への負担があるような気もしなでもないが、慣れの問題。

 時間が解決してくれるはず。


 楽観しつつ作業を再開。

 ステ強化玉を吸収していく。


 相変わらず身体が強化されている実感はない。

 だが着実に増えていく隣のステータス上の数値に、ついつい嬉しく頬が緩みっぱなしになってしまうのであった。

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