ダンジョン戦(仮)

準備

第009話 スキルガチャ


 うんうん。 

 なるほどね。

 取り敢えずダンバトの個人戦の流れは、分かった。多分だけど。


 次は、重要なガチャだよね。

 言わずもがな倉庫番の魔物ガチャチケットは、スルー。


 スキルガチャ10連チケットは、391枚。

 どうしようか。


 先ずは、ユノカに教えてもらった設定だな。

 『ヘルプ』を見ながらしてみる。


 どれどれ。

 ほうほう、なるほど。


 えーと。

 こうで、こうして。


 よし、できた。

 これでスキルガチャで排出されたものは、『ダン倉庫』へ。


 ではガチャりますかね。


 自然と口元が緩む。

 お目当て以上のものが出ないと分かっていても回したくなるし、気持ちが勝手に高まる現代病の1つだと思っている。


 でも情けないので、口元を引き締め直す。

 キリっとね。


 それではチケット1枚を使っての最初の10連。

 

   ・(N)耐力+20

   ・(SR)物貫+10

   ・(N)筋力+20

   ・(SSR)魔力操作

   ・(N)魔力+10

   ・(N)体力+30

   ・(SR)幸運+10

   ・(N)俊力+20

   ・(N)魔攻+10

   ・(R)巧力+10


 (※N:ノーマル、R:レア、SR:スーパー・レア)

 (※SSR:スーパー・スペシャル・レア)


 んー。


 まあまあ。

 安定の『魔力操作』のみ。


 思うところはあるが、心はなぎ

 至って穏やかである。

 だって10連チケットがまだ390枚あるからね。


 泰然自若たいぜん じじゃく


 ここからが勝負である。

 チケット10枚連続消費の100連。


 「いざ尋常に、てぃあっ!」



   *

   *

   *



 くーっ!

 きっつ。

 分かっていたけどね。


 だけど、まだまだ。

 更に100連。


 「せいやーっ!」



   *

   *

   *



 うーっ!

 ダメ―かっ!


 でもでも、めげずに100連。

 俺は、勝つ!


 「うりゃーっ!」



   *

   *

   *



 んっぷ!

 うっぷ!


 ふー、あっぶ。

 担々麺が顔を出しかけた。

 

 精神的ダメージがキャパオーバーしたようでようやくタップしていた指が震えながら止まる。


 そして、ハッとうつつへ。

 もう少し計画的に様子を見ながらガチャる予定だったのに。

 気付けば、300連してしまった。

 10連チケット30枚分だ。


 はー。

 憧れのスキルがゲットできない。 

 魔法とかね。


 ついつい熱くなってしまう。

 俺にはいばらの道だと言うことが分かっているけど、早く我慢のできる立派な大人に成りたいものだ。


 それにしてもガチャの偏りが酷い。

 お陰で『魔力操作』の残像が、脳内にこびり付きそうである。


 ひとまず指で目頭をグリグリとマッサージしながら、『ダン倉庫』を確認。


 ん!

 おお、これか。

 新たに『スキルオーブ』と『ステ強化玉』というタブが追加されている。


 初めにスキルからタップして覗いてみる。


  ・(SR)穴掘り x3個

  ・(SR)体術 x3個

  ・(SR)剣術 x4個

  ・(SR)短剣術 x4個

  ・(SSR)魔力操作 x31個

  ・(SSExR)ダン倉庫(ダンジョン・メニュー) x1個

  ・(SSExR)ショップ(ダンジョン・メニュー) x1個


 (※SSExR:スパー・スペシャル・エクストラ・レア)


 相変わらずの『魔力操作』。

 やはり錯覚ではなかったようだ。

 10連31回で、他を大きく引き離しての31個。


 ある意味凄いが、率直に嬉しくない。

 残念、無念である。


 強いて言うなら『体術・剣術・短剣術』の戦闘系スキルが、当たったことである。

 体を鍛えようかな。


 あと『穴掘り』も初ゲットだが、どう見てもゴブ達と一緒に穴を掘れと催促されているようで怖い。


 念のため『穴掘り』に指の腹を当ててみると注釈のポップが表示。


------------------------------------

 穴掘りが上手になる

------------------------------------


 でしょうね。


 魔法がほしい。

 土をいじれというならば、土魔法が来てくれも良いのではと文句を言いたいところだ。


 ついでに、『魔力操作』の注釈を表示させる。


------------------------------------

 魔力の操作が上手になる

------------------------------------


 まあ、そうなるよね。

 『簡易鑑定』で確認していたから、知ってた。


 冗談は置いておいて、隣の『ステ強化玉』タブを確認。


  ・(N)体力+10 x18個

  ・(N)体力+20 x11個

  ・(N)体力+30 x 5個


  ・(N)魔力+10 x13個

  ・(N)魔力+20 x 7個

  ・(N)魔力+30 x 3個


  ・(N)筋力+10 x17個

  ・(N)筋力+20 x 8個

  ・(N)筋力+30 x 4個


  ・(N)耐力+10 x15個

  ・(N)耐力+20 x 6個

  ・(N)耐力+30 x 3個


  ・(N)俊力+10 x13個

  ・(N)俊力+20 x 7個

  ・(N)俊力+30 x 2個


  ・(N)物攻+10 x15個

  ・(N)物防+10 x17個

  ・(N)魔攻+10 x14個

  ・(N)魔防+10 x21個


  ・(R)巧力+10 x15個

  ・(R)知力+10 x13個


  ・(SR)物貫+10 x11個

  ・(SR)魔貫+10 x12個


  ・(SR)幸運+10 x13個


 うむうむ。

 改めて、結果を咀嚼そしゃくする。


 んー。

 これって、凄くね。


 ふむふむ。

 やっぱり、凄いよね。

 可能性が多分に。


 だって、まだ10連チケットが360枚ある。


 この世界ではステータスのアップが自動販売機でジュースを買って飲むようなお手軽行為なら話は別だけど。


 少なくとも掲示板を見てる限り、ステータスのインフレが起きてるようには見えない。

 言わば同期達においては、スキルチケットを俺同様に大量に持ってる可能性が限りなく低いと思う。

 まあ、誰にも言わずに徹底的に隠している可能性は捨て切れないが。


 取り敢えず『幸運+10』のステ強化玉1個だけ、『ダン倉庫』から取り出してみる。


 大きさは、ビー玉ほど。

 てのひらでコロコロと転がしてみる。


 因みに色は、つやのある白色。

 真珠みたい。

 見ればみるほど綺麗。


 くんくん。

 ほのかに甘い香りもする。


 ん!

 もしかしてと思い、指で掴み口の中へ。


 んー。

 予想が外れ、味はしない。

 勘違いだったようだ。


 取り敢えず舌を使いコロコロと動かしてみるが、何も変化は起こらず。


 んー。

 どうしよう。


 害はなさそうだ。多分だけどね。

 ならばと意を決して――


 ゴクっと一思いに飲み込んでみることに。


 ん!

 お、おお!

 ジュワーっと喉元が温かくなり、あっと言う間に溶ける様に消えた。

 体に変化はない。


 ステータスを確かめると、


  【幸運】 20 → 30


 お!

 ちゃんと『幸運』値が10ほどアップしている。


 うんうん。

 良かったー。


 でも毎回飲み込むのは、負担だよね。


 もう1個取りだす。

 今度は掌で握り、『使う』と意識してみる。


 ん!

 お、使えた。


  【幸運】 30 → 40


 ちゃんとアップしてる。


 最初に飲み込んでしまったことに後悔しつつ、残りの11個を次々と取り出り吸収していく。


 よし、これで最後っと。


 『幸運』値は、


  【幸運】 40 → 150


 本当は、様子を見ながら大切にスキルガチャを回していきたいのだが、そうは言ってられない。


 近日開催されるダンバトに備える必要がある。

 そして何より、今現在もダンジョン営業中。


 強力な侵入者が現れれば、俺含め全員、即死亡である。

 現実的にそのような事態に陥ったら申し訳ないけどゴブ達をけしかけて、その隙に逃げるけどね。

 まあ、でも能力差的に逃げ切れる可能性は、ほぼ0《ぜろ》であろうが。


 なので戦力不足という問題は、是が非でも解決したい。

 結果、戦力強化に至らなくても、可能性があるなら挑まないといけないのだ。

 俺には余裕がないからね。


 『幸運』は随時、取り込む方針で。


 それでは、回しますかね。

 3,600連。


 さっきよりも良い結果なること願い、いざ尋常に勝負。


 「てぇーいっ!」


 コアルームに懇願・嘆願・哀願とごっちゃ混ぜの気合いの入った声が響き渡るのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る