間章 頑張る話 3

 その部屋は屋敷の中でも、比較的にお洒落で、飾り気の多い場所である。主に豪華な家具があり、全体的に落ち着いた色合いに統一していた。

 正面の奥側の壁には、大きな縦長な窓にカーテンが取り付けている。

 また中央には、木目調の長テーブルを設置し、周囲に椅子やソファーを囲む様に用意している。

 そこに村長夫妻と、ロンドはいた。

 彼等は互いに向かい合う様に、各々で座席に腰かけている。

 村長夫妻は、ソファーに横並びに座っており、難しい顔をしながら集中して、考え事を巡らせている。

 さらにロンドは、真向かいにある椅子に座りながら、アリサを腕に抱えながら、あやしている。

 それ故に、大人は誰一人として、人が入室してきた気配に、気がつく素振りもない。

 「んや?」と、アリサだけは身動ぎして遊んでいたら、自ずと扉の方へと顔が振り返った。

 「アリサちゃん!!」と、リリャーも目があった途端に、満面の笑みとなり、大きな声で名を呼びながら側まで駆け寄って行く。

 「アリサちゃん!…」

 「あれ?」

 「…おぉ、リリャーさんではないか。」

 ようやくして村人達も気がつき、リリャーに話しかけだした。

 対してリリャーは無我夢中で、アリサに呼び掛け続けている。

 「アリサちゃん、…ほら、お母さんよ!」

 「…。」

 「…元気にしてた?…ご飯、ちゃんと食べてる?…良い子にしてた?…お母さんはね、…」

 「うぇぇ…」

 しかし、アリサは次第に表情を歪めて、両目に涙を溜めだす。さらに顔を背けてしまうと、余計に激しく身をよじって抵抗を露にしていた。まるで逃げようとしているようだった。

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