6、弓道部、試合中のルーティンをインタビューする。(高校編)
今日は待ちに待った弓道の試合。
はたして弓道部員達はどんな風にして過ごすのか。
わたくし、もっこすがインタビューして参ります。
ほい。
それでは、いってみましょう!
──◇──◇──
【その0、駅まで自転車をこぎながら道具を運ぶ】
長い筒を背負い、槍みたいな棒を担いだ方がいますね。
自転車に乗っているみたいですけど、ハンドルに弓を添え、指で固定してますね。
曲がると時は注意しているみたいです。
インタビューしてみましょう。
「なんでそんな持ち方をしているんですか?」
「この持ち方が一番安定するんですよ。ブレーキも使えますしね」
「なるほど、コンビニに寄ったりすることもあるんですか?」
「はい。だいたい変な目で見られますね。でも、私は気にしてないです」
なるほど。
顧問の先生が車で運んでくれない場合なんかは、こうやって運ぶんですね。
それでは、今度は駅に行ってみましょう。
──◇
【その1、電車で試合会場を目指す】
駅のホームには、槍みたいな棒を持った人や、長い筒みたいなのを背負った人がいますね。
なんか白黒の袴姿の人もいます。
男性は制服姿の人が多いですね。
袴姿の女性にインタビューしてみましょう。
「どうして、もう袴姿なんですか?」
「今回は神社での試合なんですけど、試合会場に更衣室がないんですよ。青空の下で着替えるのが、恥ずかしいじゃないですか……」
「なるほど、そちらの方は制服ですが、どうやって着替えるのですか?」
「あたしわ〜他の子に壁になってもらって〜、コソコソと着替えま〜す。ちゃんと更衣室がある試合会場も、あるんですけどね〜」
なるほど。だから最初から袴姿の人が多いのですね。
制服姿の男性は、視られてもいいって思ってる人が多いのですね。
あまり見たくありませんけど。
あ、電車が来ました。
追跡してみましょう。
──◇
【その2、試合会場で予選前の準備】
試合会場に着きました。
開会式はまだみたいですね。
おや?
なんだか樽を横にしたようなものがありますね。
藁の塊みたいです。
弓と矢を持った人が大勢並んでいますね。
藁に矢をスパン、刺さってます。
えらい行列ですけど、なんででしょうか。
インタービューしてみましょう。
「これは何の行列ですか?」
「巻藁の順番待ちですよ。基本的に試合では試し射ちが出来ないので、自分の調子をこれで確認するんです」
「何かルールはあるんですか?」
「一本射ると、交代なんですよ。暗黙のルールですね、だから、朝はすごい混みます」
ありがとうございました。
おや、あちらの広場では、棒ついたチューブを引っ張っている人がいますね。
手を離すと、ばちん、と鳴ってますね。
なんか形だけは弓を引いている時と同じですが。
なんでしょう?
インタビューしてみます。
「そのチューブはなんですか?」
「ゴム弓って言います、ストレッチの意味があります。あと巻藁に並ぶのが嫌な人なんかはー、これで練習します!」
「なるほど、どっちがいいとか、あったりしますか?」
「うーん、好みですねー。場所があればゴム弓のほうが手軽なので、私はこっちのほうが好きです!」
ありがとうございました。
おや、選手の招集が始まったようですね。
みなさん緊張してますね。
試合要項を読んで見ましょう。
──◇
【その3、試合の内容(地方によってちょっと違う)】
今回は、1チーム3名。
一校につき、Aチーム、Bチームの2チームまで。
予選1回で射る矢は、一人4本、計12本。
これを2回行い、計24本
中たれば1、外れるとカウントしない。
合計的中の多いチーム、上位8チー厶が決勝トーナメントに進出する。
ふむふむ。
チーム人数が違うパターンもあるそうですよ。
今回は、3人チームだそうです。
──◇
【その4、待ち時間は長い】
予選の1回目が終わったチームに、インタビューしてみましょう。
「予選2回目は、いつやるんですか?」
「出場したチームが全部、予選1回目を終えてからです」
どうやら待ち時間が長いようですね。
参加校の数によっては、2時間くらい待つそうですよ。
「それだと、待ち時間はどうするんですか?」
「応援席から他のチームの予選を見るか、荷物置き場で待機します。人によっては巻藁で練習したり、ゴム弓で練習したりして、時間を潰します」
なるほど。
待機場所に行ってみましょう。
──◇
【その5、荷物置き場】
敷地のいたるところに、大きなレジャーシートを敷いて座っている人が沢山いますね。
弓とか矢も、置いてますね。
ちょっとインタビューしてみましょう。
「待機場所は、いつもこうなんですか?」
「試合会場の大きさによるかな。ちゃんと待機出来る場所がない神社なんかは、こんな感じ」
「貴重品なんかもここへ?」
「人によるけど、だいたい荷物番がいるからね。だからサイフやスマホは、いつも持ち歩いてる感じ」
白い胴着の懐から、サイフやスマホが出てきましたね。
おや、黒い袴の内側に入れている場合もあるんですね。
ふむふむ。
ちょっとお手洗いに行ってみましょう。
──◇
【その6、弓道部のトイレ事情】
わたくし、袴に着替えてきました。
ズボンみたいになってるタイプと、ワンピースみたいになっているタイプがありますね。
おや、なんだか和式トイレだけが行列ですね。
洋式トイレはガラガラです。
インタビューしてみましょう。
「どうして和式トイレに並んでいるのですか?」
「ズボンタイプの袴を履いていると、和式のほうがいんすよ。洋式トイレだと、袴が床についたりするし、和式だと、たくりあげれば便器や床につかないし。だからズボンに履き替えてから、トイレに行くやつもいるっすよ。帯が腰に巻いてあるから、男子はそうなるんすよ」
なるほど。
おや? 洋式トイレに並んでますね。
女性の方にもインタビューしてみましょう。
「わたしはワンピースタイプだし、帯はお腹に巻いているので、しっかりたくりあげてそのまま……って、そんな事聞かないでくださいよぉ!」
ありがとうございました。
ズボンタイプだと、片方に両足をいれて、トイレが終わると戻すやり方もあるみたいですね。
袴でトイレってのも、なかなか大変ですね。
おや、もう帰ろうとしている方がいますね。
──◇
【その7、予選2回目が終わると帰る】
荷物を持って、袴姿のまま帰る人にインタビューしてみます。
「もう試合は終わったんですか?」
「うぃっす、予選に落ちると、もうやる事ないんで〜」
「え、じゃあ8本矢を射ったら、もう終わりなんですか?」
「そうっす。予選を突破しなかったら、それで終わりなんすよ〜」
なかなか少ないですね。
半日以上の時間をかけて、8本射ったら終わりだそうですよ。
弓道の試合は、だいたいこんな感じだそうですね。
ちょっと応援席に行ってみましょう。
──◇
【その8、弓道部の応援方法】
基本的に静かなんですけど、選手が的を射抜くと、かけ声を出してますね。
ちょっと耳を澄ましてみます。
──スパン。
「しゃあ!!」
「よーし!!」
「せい!!」
ふむふむ。
学校によって違いますが、なんでかけ声を出すのでしょうか。
インタビューしてみます。
「どうして、かけ声を出すのですか?」
「トーナメント戦だと、戦うチームにプレッシャーを与えたり、これを聞いた選手が自信を持つためです」
「外したら、言わないんですか?」
「それがルールなんです。仲の良い他校の選手に対しても、応援するときがありますし、白熱した試合を見ていると、思わず出る時なんかもあります」
なるほど。
自分の学校だけではなく、他校を応援する場合なんかも、かけ声を出すんですね。
このかけ声の事を、矢声って言うそうです。
もうちょっと見学していきましょう。
──◇
【その9、最後の片付けと掃除】
神社での、弓道の試合が終わりました。
なんだか、箒を持って落ち葉を集めたり、道場にモップをかけたりしてる人がいますね。
草をむしっている人もいますね。
なんでこんな事をするのでしょうか?
インタビューしてみましょう。
「どうして掃除をするのですか? 帰らないのですか?」
「これは、試合会場に対して、今日はありがございましたって意味で、掃除をするんです」
「自主的にですか?」
「そうですよ。だいたい決勝に残った学校の選手が多いのですが、この時間をキッカケにして、話をして。他校の人と弓道仲間として繋がっていくんです。それが楽しいって気持ちもあります」
なるほど。
決勝に残った人達は、こういった気配りをすることで、弓の神様に感謝し、弓仲間としての輪を広げていくんですね。
さすが武道ですね。
私も、掃除して帰りましょう!
──◇──◇──
いかがだったでしょうか?
細かい部分は省略していますが、弓道部の試合ルーティンとは、このような感じです。
特に、観光や駅のホームなどで、光景を見かけた事がある、って人は居ると思います。
日頃は影の薄い弓道部員ですが、ここぞとばかりは、存在感があるんですよ?
ということで。
弓道の試合、ルーティンでした〜☆
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます