第31話 不人気ダンジョン再び(2)
翌日、僕は再びダンジョンを訪ねた。今日の僕は昨日の僕とは違う。何が違うって、作って来たのだ。追加の魔道具を。
魔道具・光 「小」「光」
魔道具・着火 「小」「火」
魔道具・
魔道具・
僕は、昨日狩ったスライムの魔石と、砕いた魔石粉を使って、追加で4つの魔道具を作った。
属性が違う魔道具は使えるか。答えはイエスだ。生活魔法の光や着火だけでなく、水属性か光属性しか使えないはずの
火炎は、聖句を見ての通り、散弾銃よりも1つ少ない。物理的にダメージを与えるための「打」が不要で、しかも与ダメージが「
それにしても、無駄に他属性の魔法スキルの聖句まで覚えていてよかった。王都で「変態ガリ勉」とまで陰口を叩かれただけはある。さあ、今日も張り切って行こう。
火炎を試射したら、早速せっせとスライム
昨日コウモリにやられてからも、何度か核を集めて砕いていたのが良かった。今日は5往復目でファンファーレが鳴った。これでようやく
今日は趣向を変えてみる。狙うのは、あの憎きネズミだ。奴らは火に弱い。今回、そのために作って来た火炎の魔道具。前ループで鑑定した爆炎スキルの内容は、以下の通り。
→
取得条件・火属性、Lv10、INT20
Lv1
→範囲に弱い火炎を噴射する。噴射数はINT/2、攻撃力はINT/2。MP15
今の僕の
さあ、憎きネズミ共、勝負だ。
結果は呆気なかった。光の魔道具で灯りを取りながら、例の湧きポイントの横穴に到着。到着と同時に
調子に乗った僕は、それからしばらく奥まで進み、ネズミが出るたびに火炎で狩って行った。すると間もなくファンファーレが鳴り響き、僕はあっさりレベル5に到達。インベントリが解放された。ああ、これで帰りは大荷物を持たずに済む。さあ、どんどん狩って行こう。なんせ魔石は、足元の水たまりの中に山ほどあるのだ。僕のかまぼこ板が、火を吹くぜ。
手元に用意していた魔石が切れたので、一旦表に出る。ネズミにエンカウントしたくなかったら、光源を光から火に変えればいいだけだ。実に楽ちん。コウモリは、こちらから攻撃しないと襲って来ないしね。
僕はほくほくとお昼を食べた。こんな美味しいダンジョン攻略、久しぶりだ。今日はこの後いっぱい魔石を集めて帰ろう。
何度か水場と外を往復し、片手間にネズミを狩りながら、魔石を集める。虫ダンジョンのトンボほどじゃないけど、レベルもサクサク上がる。そして集めた魔石は、片っ端からインベントリへ。帰りは手ぶらだ。なんて素晴らしい。今日の僕はご機嫌だ。
さあ、今日はちょっと早いけど、そろそろ帰ろう。明日も学校だしね。馬車まで待たなくても、歩けばいい。なんせ今日の僕は、手ぶらだから。
そう思いながら、手荷物をインベントリに収納していた時だった。
魔石片 346グラム
魔石 895個
石 12個
魔石の中に、ただの石が混じっていることが分かった。見た目が似ていて、選り分けに失敗したもののようだ。
てか、勝手に分類するの?インベントリが?
———うん。してたね。これまで僕がソロでダンジョン攻略していて、ドロップ品やらコインやら、片っ端から収納して。後で勝手に分類されてたね。そうでした。
要らなかったじゃん!
インベントリ解放したら、自力で選り分け、要らなかったじゃん!
僕は石だけを取り出し、洞窟の側の小川の岸辺に捨てた。てか、昨日捨てた石の山が、そこらへんにある。もしかしたら、この中に間違って魔石が入ってるんじゃないか。でも、こんな山のような石、手に取って収納とか。
いや待てよ。収納と排出の範囲って、どこまでなんだろう。僕は小石の山に手を当てて、「収納」してみた。すると、山ごと小石が全てそこから消えた。そんなに入るの?一気に?
改めてインベントリを見ると、魔石が997個になっていた。僕が捨てた石の中に、魔石が102個も混じっていたことになる。僕は再び、石だけを排出した。あまりの呆気なさにしばらく呆然としていたが、ふと思った。これ、石だけじゃなくて、水ごと行けるのか?
僕はダンジョンに戻り、水たまりの水ごと収納してみた。すると広さ10メートルほどの水たまりが、一瞬で干上がった。
魔石片 346グラム
水 1.3トン
魔石 1,237個
石 274個
「…」
出来ちゃった。僕はその場にそっと水と石を排出し、立ち去った。
そういえばRPGゲームだって、「〇〇ゴールドをかくとく!〇〇をひろった!」だけだもんね。後半になるとものすごいお金が落ちているけど、勇者一行がそれらを這いつくばって拾っているとは思えない。いや拾ってるかも知れないけど、想像したくない。
前ループ、あのトンボのモンスターハウスで、せっせと散らばったコインや羽を拾っていた僕。いやその前、隣領の水棲モンスターのダンジョンでは、もっと大変だった。
あの時、このインベントリの使い方に、気付いていれば。
まあ、過去のループは過ぎ去った事だ。今更
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