第58話☆安田葵vs新井美紀
Bグループ第二試合は紫苑女子の1年安田葵と川崎中原の2年新井美紀だ。
新井美紀はすらっと背が高く手足が長い。長めの茶髪で、ドラマに出てきそうな雰囲気だ。
安田葵は中学の時に何度か戦ったことがある。ある意味やりにくい相手だ。戦闘スタイルが私に近い。
ゴングが鳴ると新井美紀が鋭いローキックを放った。
うわ、今の蹴りすごい。咲来みたい。
何かの経験者だろうか。そこからもどんどんキックを繰り出していく。蹴りのリーチが長く、安田葵を寄せ付けない。いや、逆に距離を詰められたくないみたいに見える。
安田葵は一発目こそ食らったものの、それ以降はガードを固めて攻めるスキを窺っている。
でもこのまま蹴りを出し続けるのは新井美紀の方がスタミナ的にキツい。それを待って安田葵も無理には攻めないのか。
新井美紀もそれに気付いたのか、自らロックアップの形に入って安田葵とがっちり組んだ。と思った次の瞬間には新井美紀は抱え上げられてリングに叩きつけられていた。
ボディスラムの入り速っ!足取ってから持ち上げるまでが一瞬だ。
起き上がったところにもう一度ボディスラム、からのアームホイップ。投げ技をテンポよく連発し、長身スレンダーな新井美紀を人形みたいにばったばったと何度も投げていく。
序盤の攻勢とは打って変わって新井美紀は防戦一方だ。立ち上がってすぐに間合いを取ろうとするけど安田葵が先回りしてロックアップの体勢にならざるを得ない。ここまで間合いが近いと新井美紀は出せる技がほとんどないし、安田葵もそれに気付いている。
何とか距離取った。でもだいぶダメージあるな。わっ、ハイキック!入った!?ギリギリガードした?でもちょっとよろけた。
さらに新井美紀が安田葵のボディにミドルキックを打ち込む。でもこれは安田葵がキャッチ。テイクダウンして関節技か、いや、足を抱え直した。腕に担ぐみたいな、この体勢は!
もう一方の腕で首を引きつけるように抱えて後方にぶん投げた、キャプチュードだ!
新井美紀は身体を丸め込まれた状態で叩きつけられた。受け身を取るのも難しい投げ技だ。
うわ、これはきっついな。安田葵がそのまま押さえ込む。これは返せない。ダメージが蓄積しているのもあるけど、戦意喪失させるのに十分な一発。
すごい。きっと安田葵は中学の頃からずっと投げ技に磨きをかけてきたんだ。そして高校生になってこんなに威力の高い技も使いこなしている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます