第57話☆大塚咲来vs大橋未来
咲来の第一試合は接戦だった。
相手は緑ヶ丘学園の一年大橋未来。プロレス歴はわからない。中学からやっているようにも見えた。咲来のローキックにはほとんど対処できていなかった。何発も綺麗に入って咲来が優勢と思いきや、なかなか相手の動きが落ちない。
大橋未来はロックアップからの投げ技でスキを作って関節技に入る。
シンプルだけど咲来の体力を確実に奪っていった。脇固めや逆エビ固め、ボディシザースと攻めの種類も豊富だ。
惜しいな。咲来は蹴りが武器だからもっと足を攻めればいいのに。
咲来との対決が決まったせいか、いつもと違う目線で咲来の試合を観ていた。一番身近な仲間だけど切磋琢磨する関係ではなかったかもしれない。
試合時間が7分になり、技の応酬で両者かなり消耗していた。咲来はこの試合一番の窮地を何とか逃れたところだ。
咲来のローキックを大橋未来がついにキャッチした。ドラゴンスクリューで足を捻り、すぐさまアキレス腱固めに入った。完璧に極められる前にロープを掴んだけど、少しロープが遠かったせいで足をだいぶ絞られたみたいだ。
同じ一年生相手に負けてほしくない。私と勝負する前にこんなところで負けないで。そんな想いでリングに向かって咲来の名前を叫んだ。強豪校の試合と違って応援や観客は少ないけど、その分声は届きやすい。私の声もきっと咲来に聞こえるはずだ。
そこからしばらく膠着状態に入った試合に決着をつけたのは咲来だった。
大橋未来は咲来の足を痛めつけた後も蹴りを警戒してかなり慎重になっていた。そのガードをかいくぐるように咲来がボディスラムからの抑え込み、それを返した大橋未来をうつ伏せにしてSTFを決めてギブアップを奪った。
咲来も関節技いっぱい特訓したもんね。キック以外でも十分戦える。
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