あなたの悪夢買い取ります
あなたにとっての悪夢はどんなの?
人が死ぬ、動物が死ぬ、追われる、追い詰められる、嫌いな人と会う、嫌な言葉を浴びせられる。
そんな悩みのある人へ。
その悪夢、買い取ります。
今日悪夢を見て憂鬱なあなたにオススメ。
1週間前までの悪夢なら全て買取可能。
胡散臭いチラシを手渡しで配る少女。
「どうぞよろしくお願いしま〜す!
どんな悪夢でも歓迎で〜す!」
その少女に近づくひとりの女性。
「あの……」
とても暗い表情の女性は、悪夢に苦しんでいるようだ。
「はーい!」
「買い取られたあと、どうなるんでしょうか」
「???
悪夢が?それとも、あなたが?」
「私が……」
悪夢を覚えていないことなど、日常茶飯事だろう。
同じ事だ。
「悪夢のことは綺麗さっばり忘れます!
これまでの日常を繰り返すだけ!」
「では……お願いします」
「毎度あり!
お代はあなたの悪夢の量次第!
まずは査定しますね!
おいで、ナイトメア」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべた少女が影から真っ白なバクを呼ぶ。
「いただきます」
バクは女性の影に潜り込み姿を消した。
「20万」
影からさっきのバクの声が聞こえる。
「夢が2つで20万になります!」
「こ、こんなに……?」
「では、綺麗さっぱり忘れるということでよろしいですか?」
「お願いします」
少女はパン!と手を叩き大きな鐘を魔法で出した。
カランカランと大きな音で周囲の注目を浴びる。
「毎度ありがとうございます!
では良い夢を!」
カランカランと鳴り響く中、女性はまるで気にしない。
と言うより、聞こえていないようだ。
そして、その鐘が鳴り止み、影からバクが出ると女性はようやく自我を取り戻した。
「……?
私、何に悩んでいたのかしら。
忘れちゃった!
ありがとう!」
笑顔になった女性は、そのまま立ち去った。
一部始終を見ていた観客は少女の元に行列を成した。
短編小説〜異世界物語〜 @s2love2721
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