短編小説〜異世界物語〜

@s2love2721

真っ赤な夜で

白い犬は言った。

「お前の魂を探している」と。


初めてこの犬と会った時に、何となく安心した気がした。

でも、なぜ安心したのかはわからない。

俺は何者で誰なのかも分からない。

ただ息をして白い犬について歩く旅をした。


そんなある冬の日、レッドナイトと呼ばれる、夜空が赤く染まる現象を目の当たりにした。

初めて見たけど、初めてじゃない気がした。


白い犬は雪の中走り回って俺の所に来た。


「懐かしいな、楽しいな。

100年ぶりの景色ぞ。

またお前と見れた」


しっぽをブンブン振り回して笑顔を見せる犬は、心底楽しそうだ。

その姿を見て、嬉しくなったんだ。


「笑った。

主が笑った。

懐かしや、懐かしや。

恋しいのう、主様」

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