第2話
まずは、情報を整理しよう。昨日私は、道で弱っている黒猫を拾った、で、一緒に寝た。
ってことは、この子がその猫?
今どき獣人がいる事は珍しく無くなった。なぜなら、人が人以外と子を成せるようになったからである。だから、これと言って珍しいことではないが、猫が獣人に変身する、という事は聞いたことがない。
一度病院に連れて行ったほうがいいのかな?
なんて考えていたら黒髪のその子が目を数回パチパチさせて目を覚ました。
『んー、おはようございます。ご主人様♪』
『えーとおはよう?』
『あなたは、どうして昨日あんな所で倒れていたの?』
『それはですね』
それから、その子は事情を詳しく説明してくれた。どうやら獣人の非人道的な実験所の実験体だったらしく、施設を脱走してきたそうだ。だが、食べる物もなく人型を維持出来なくなって行き倒れていたところを私に助けられたらしい。
『これから行くあてはある?』
『......お恥ずかしながら、無いですね』
『..............』
『じゃあココに住む?』
『いいんですか!?』
『いいよ。ただし、ご飯作ってくれないかな?無理なら良いんだけど...』
『いえ。作らせていただきます!』
こうしてこの獣人と一緒に暮らすことが決定した。
『そしたら、まず何からしようか?』
最初にこの子の服を買って、ベットも買うとして......。その前に名前聞いてないな。
『名前はなんていうの?』
『名前は.....無いです』
そっか、実験体だったからか。となると、私がつけるべきか?でも、ネーミングセンス無いんだよなー私。
『......よければ、ご主人様が付けてくださると嬉しいのですが.....』
そう言って私の事を上目遣いで見てくる、頬が若干赤くなっている獣人。可愛い。
思わず撫でてしまった。でも、嫌がる素振りは見せず、むしろもっと撫でて欲しいとねだるように頭を押しつけてきた。
『わかった。つけるよ、でも変な名前でも文句言わないでね。』
『.....!はい!』
私は、この子をじっくり観察し始めた。とりあえず何か特徴的なもので名前をつけるつもりだ。まず、目が大きい。それから耳は真っ直ぐで尻尾はふさふさだ。毛並みも綺麗で佇まいはどこかの国の王女様のようだ。
『よし、決めた。名前はエリザにしよう』
『エリザ....。とっても良い名前ですね』
エリザは途端に元気になり、私の膝に乗っかってきた。まだまだやる事は沢山あるが今はこの時間を楽しもうと思った。
たまたま道で拾った猫は獣人でした。 南極ペンギン @amaori
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