第33話 成果

 

 早朝、アランとミーシャに出掛けることを伝えた俺は再び東門に来ていた。

 手を振るマナに応えて丘を登る。


「マナ、今更言うのも変な話なんだけど、俺は冒険者として色んな街に行くから、いつまでもこの街にはいられないんだ。だから今日、俺との模擬戦を行った後にホーンブルと戦ってもらう。そしたらお前は卒業だ」


 昨日ガイストに聞いてみた所、もう少しで準備が整うから、そっちも旅立ちの用意くらいしておけと言われた。

 だから少し早いが、この子の卒業も急がなくてはならない。

 ……まぁ、俺はこの子を弟子にした覚えはないんだけど。


「え……うん、しょうがないよね……でも、マナはまだ自信無いよ……」


「もちろん、直ぐに冒険者になれとは言わない。俺が手伝うのは、マナがホーンブルを倒して、その功績を持って姉ともう一度話し合う機会を作る事だけだ」


 俺はポーチから昨日買って来たマナの装備を取り出す。

 ミーシャと同じように、魔物の素材を使った服だ。だけどこの子はミーシャよりも幼く、筋力も発達していない。より軽くて動きやすい物に拘った。少なくとも今着てる普段着よりは性能が高いだろう。


「これは前倒しの卒業祝いだ。普通の服より防御力も魔力の通りも良い。これに着替えてから出て来い」


 そう言って、マナの周囲を高い土の壁で覆う。野外で着替えさせるわけにはいかないからな。



「着替えたよー!」


 少し待つと、壁の中からマナの声が聞こえ、風で舞い上がるようにジャンプしたマナが壁を乗り越えて来た。


「ありがとね、ししょう!」


 服を気に入ったのか、嬉しそうにその場で一周するマナ。よく似合っているが、お披露目会をしている暇はない。


「そういえば時間は平気か? いつも昼以降は家にいるって言ってたけど」


「うん! 家の事して、お勉強するだけだからへーき! 夕方になる前に帰って来なさいってお姉ちゃんには言われてるけど、師匠がいてくれれば大丈夫だとおもうよ!」


「昼には帰れるようにするよ……じゃあさっそく」


 俺は両手に土の剣を作り、弱めの威圧を放った。

 驚いたマナは慌てて後ろに跳ぶ。


「良い反応だ。今から俺の事を凶暴な魔物だと思え。生きるか死ぬかの戦いだ。お前は全力で俺を倒しに来い」


 急過ぎただろうか。

 マナは少し狼狽した後、火の球を飛ばして来た。


「そんな程度の低い攻撃が通用すると思っているなら、お前は今直ぐ家に帰って冒険者を諦めた方がいい」


 魔力を纏った土の剣で火球を叩いて魔法を霧散させる。

 魔法に魔力を纏った攻撃をぶつけてやれば、強い方が打ち勝つ。


「……! ま、まけないよ!」


 威圧を放ち続ける俺を恐れながらも、マナはひたむきに立ち向かって来た。

 無数の氷の弾丸が飛び、その隙間を埋めるように風の刃も迫ってくる。

 恐ろしいセンスだ。ホーンブルではこの広範囲攻撃を躱せないだろう。しかし火力不足だ。

 両手の剣で落ち着いて切り落としていけば大した脅威ではない。手が間に合わなければ避けるだけだ。


「やぁ!」


 再び火属性魔法。

 だが今度は火柱の魔法、中級魔法だ。

 威力は高いが、魔法発動の直前、足元から熱気を感じる。即座にその場から飛び退けば、立ち昇る火の柱から逃れるのは容易い。


 そろそろこちらから仕掛けてみようか。

 剣を構えて軽く走る。

 攻撃が来る事を予想して少し怯んだマナ。


「ウィンドカッター!」


 短縮とは言え、詠唱をしたのは集中出来なかったからだろう。それでも咄嗟に動けたのは良い事だ。

 風の刃をしゃがんでよけ、右手に持った剣をマナに突き刺す。もちろん寸止めするつもりだったが、その必要はなかった。


「アースウォール!」


 昨日俺が使ったのと同じ魔法だ。強度も申し分ない。

 壁を砕いてもよかったが、そこまでしたらこの子の自信まで砕けてしまうかもしれない。

 壁の前で少し止まってマナの動きを待つ。大きな壁のせいで、向こう側が見えない。


「落ちて! アイスニードル!」


 きっと俺がホーンブルだったら何も出来ずに攻撃を食らい、絶命した事だろう。この時点で合格をあげてもいい。

 しかし今後更なる高みを目指すであろう少女に、宿題を渡しておくのもいいだろう。手にしていた剣を捨てて左手を上に向ける。


「獄炎よ……インフェルノ」


 昨日教えてもらった炎の上級魔法を短縮詠唱で上に放つ。

 俺の上に出来上がっていた氷の棘が一瞬で蒸発し、炎は天高く舞い上がって消えた。

 崩れた土の壁の向こうで尻餅をついたマナが、圧倒されたように魔法を眺めていた。

 昨日試していたけど、この子は使えなかった魔法だ。見て学ぼうとしているみたいだ。

 ともかく、ここまでだな。


「よく頑張ったな。お前ならホーンブルが相手でも勝てるぞ」


「え? でも、ししょうに手も足も出なかった……」


「俺はホーンブルよりもずっと強いからな。アイスニードルを落とした時点で合格だった。さっきみたいに勇気を持って戦えば、何も心配はいらないさ」


 この子は自分の力がどれだけ優れているかわかっていない。故に自己評価が低い。

 だから俺は大口を叩いてこの子が自信を持てるようにした。


「うん……! わかったよ。マナ、がんばる!」


 マナの決意を聞いたところで、丘の下でこちらを見てる人に気付いた。

 それは唖然としている門衛と、もう一人は昨日もギルドで会った冒険者だ。


「な、なんで……貴方がここにいるのよ」


 驚いた表情で近寄って来るのはレイラ。それを見てマナは――


「あ! お姉ちゃん!」


「お姉ちゃん!?」


 素っ頓狂な声をあげてしまった。

 天真爛漫、無邪気で明るいマナを見てから、レイラに視線を戻す。

 この大地に在る全てを警戒しているような鋭い瞳でこちらを見るレイラ。今更だけど、その薄紫色の瞳はマナみたいに淡く輝いて見えるし、魔力量が多いのは二人の共通点かもしれない。

 しかし似てないな……まるで正反対だ。


「あれ? ししょうとお姉ちゃんは知り合いだったの?」


「ちょっと、マナ、アンタが言ってた師匠って、こいつの事なの?」


「そうだよ! ししょうが認めてくれたから、今からホーンブルをやっつけに行くんだよ!」


「なっ! そんな危険なマネ……」


 キッと俺を睨むレイラ。

 ふと一昨日レイラとした会話を思い出す。

 大事にしてる子を危険な場所に連れて行くのが不安じゃないのか、と聞かれた。

 そして、マナとの会話も思い出した。

 この子達の父と母が冒険者として死んでいる事を。


「……不安だよな。両親だけじゃなく、大事な妹まで危険に晒したくはない、そう思うのは当然だ」


「……アンタに、何が……」


「もちろん俺にとっては他人事だし、お前らの気持ちを完全に理解する事なんて出来ない。でも、この子は自分の願いと覚悟の強さを俺に見せつけてくれた。危険な冒険者になる必要はないと思って何度か脅したけど、この子は折れなかった。だったら、この子の願いを応援してやるのが、年長者としての務めだろ?」


「私と同い歳のクセに、何が年長者よ……」


 ん? なんで俺の歳を知ってるんだ?


「お姉ちゃん、昨日言ったよね。ホーンブルくらい倒さなきゃって。そしたら、お姉ちゃんは不安じゃなくなる?」


「あれは、マナに諦めさせるために……」


「マナは諦めないよ。お姉ちゃんが不安に思ってるのと同じくらい、マナも不安だから。お姉ちゃんと離れ離れになるのはイヤだし、そのまま会えなくなったらって考えると、もっとイヤなの」


 俯いていたレイラはハッとした様に顔を上げた。


「私……貴女が家計の事心配して冒険者になりたがってるんだと……」


 やっぱり自分が心配されてるなんて思わなかったんだろうな。

 マナも人の話を聞かずに突っ走るタイプだし、こうやって話し合ったのは初めてなのかもしれない。


 レイラは額に手を当てて暫く考え込んだ後、俺に向かって頭を下げた。


「ごめんなさい、昨日は貴方に失礼な事を言ったわ。それから、妹の面倒を見てくれてありがとう。この子は人を見る目はあるから、師匠が出来たって聞いた時に悪い人じゃないと信じて会う事を後回しにしていたの」


 正直意外だった。

 他人に関心が無さそうな人だし、簡単に頭を下げるほどプライドが低いようにも見えない。

 それでも礼儀を尽くしてくれたのは、大事な妹に関わる事だからだろう。


「気にしないでくれ。師匠になるつもりはなかったけど、俺もこの子に魔法を教わっていたし、こちらとしても大切な時間だった……でも、今日はどうしてここに来たんだ?」


「どうしてって……それよ! さっき巨大な炎が立ち昇ったから心配して来たのよ! あれは貴方の仕業だったのね! 街の側であんな魔法使うんじゃないわよ!」


 レイラがビシッと指差した方向を見ると、東門から数人の衛兵や冒険者がこちらを覗いていた。もしかしてちょっとした騒ぎになってしまったのだろうか。

 慌てて丘を駆け降りて衛兵達に謝罪する。


「すまなかった、訓練に夢中になっていた」


 そう言うと、ずっとこっちを見ていた門衛が快活に笑った。


「がはは! 凄い魔法だったな……っと、いかんいかん。ああいう訓練をするなら、街から離れてやるんだぞ」


 以後気をつける、と伝えて後ろを振り返る。


「まだマナが冒険者になる事を認めたわけじゃないけど」


 そう前置きをしてからレイラが言った。


「貴方達の訓練、見学させてもらうわ」



 ⭐︎



 俺たち三人は北の平原にやって来た。

 レイラは剣の鍛錬の途中だったらしく、動きやすい服装に大剣を装備したまま着いて来た。彼女の大きくない背中に巨大な剣が背負われているのは、少しの違和感がある。しかし重く感じている様子はなく、直感で彼女はあの剣を使い熟しているのだろうなと思う。


「いたわね。マナ、本気でやるつもり? 貴女じゃアイツの突進を食らっただけで即死よ。昨日見せてくれた魔法だって大して通用しないし……」


「もう! やるってば!!」


 心配性のレイラにマナが怒鳴る。どっちが姉かわからない姉妹に和みそうになるが、それどころじゃない。遠くのホーンブルがこちらを向いた。


「気付かれたぞ。マナ、やるなら行け。行くなら怪我をするな。あの程度の魔物に手古摺るようじゃ冒険者にはなれないからな」


「うん……見ててね!」


 俺たちの元から走り出すマナの背中を、レイラは心配そうに見つめる。


「貴方にとっては『あの程度』なのかもしれないけど、ホーンブルはゴブリンやコボルトの様な弱い魔物じゃないのよ」


「ギルドでは孤高のレイラって呼ばれてたけど、今見るとただの心配性な姉だな」


 俺が揶揄うと、鋭い瞳で睨まれる。


「ほらほら、俺じゃなくてマナを見ろよ。ホーンブルは突進の体勢に入ったぞ」


「なっ、あの子詠唱もせずにズカズカと近寄って! やっぱり危ないわよ! 止めなきゃ!」


 その場から走り出そうとするレイラの腕を慌てて掴む。


「お前本当に心配性だな! もう少し妹を信じろよ。昨日だって無詠唱魔法を見せてくれたんだろ?」


「そりゃあ見たけど、ただの水球よ? 実戦向きじゃないでしょ」


「どこで魔法の披露があったのか知らないけど、街中で実戦向きの魔法なんか使えないだろ……」


 さっき街の側で特大の魔法を放って怒られたばかりの俺が言えた事じゃないけど。


「じゃああの子は私が知らない魔法を無詠唱で扱えるってわけ?」


 普段は仕事に行ってるレイラは、マナの正確な強さを知らないのかもしれない。


「まぁ見てろって。危なかったら俺が止めるし」


「貴方のことはマナ以上に信用してないのだけど」


「……えっ。泣きそう」


 軽口を言ってる間にマナはホーンブルの前に躍り出た。

 当然ツノを持った牛は獲物を串刺しにしようと走るが、その獲物――マナは自分の足元に土の柱を作り出し、自らを宙に飛ばした。

 直前までマナがいた場所には土の柱が出来ている。ホーンブルは慌てて減速したが、ツノが柱にぶつかり一瞬よろけた。

 そして上空から声が響く。


「ファイアストーム!」


 ホーンブルの足元に炎の竜巻が生まれ、それは魔物の身体を包んみ込んだ。

 驚いた。昨日は出来なかった火と風の複合魔法だ。

 実戦で完成させるなんて、とんでもない子だ。


「嘘……でしょ?」


 隣のレイラが信じられないものを見る様にマナを見ていた。

 あの子はちゃんと風魔法のエアリアルで落下の衝撃を和らげ、フワリと着地した。

 そしてホーンブルが動かない事を確認してから俺たちの元へ駆け寄って来た。


「貴方が、あの子をこんなに強くしてくれたの?」


 レイラの質問に首を振る。


「マナはお前と一緒にいたい一心で強くなったんだ。俺があの子の為にしてあげた事なんて殆どない」


 しかし、マナが冒険者になる事を許すかどうかは、この姉妹の問題だ。

 俺の役目はここまで。


「ししょうー! 倒したよ!」


「よくやったな! 俺に教えられる事はもう何もない。お前は一人前だ!」


 飛びついて来たマナを受け止め、一度は言ってみたかったセリフを言う。


「ししょう、もう別の街に行っちゃうの?」


「もう少しはこの街にいると思うけど……」


 いつになるかはガイスト次第だ。準備って何をしてるんだ?

 そんな疑問に答えるように、レイラが口を開いた。


「悪いわね、貴方の出発を遅らせてるのは私よ」


 一瞬何を言ってるのか理解出来なかったが、つい先日パーティに加わったアランの事を思い出した。


「もしかして……」


「えぇ、私もアランと同じように、ガイストに声を掛けられたの。『リュートのパーティはお前に合ってると思う。俺はレイラの嬢ちゃんが昔みたいに楽しそうに冒険してるのが見たい』ってね」


 そうか、ガイストに俺の情報を聞いたから歳も知っていたのか……いやいや、個人情報漏洩させんなよ。

 まぁそれは置いといて、言うべきことは言わないといけない。


「冒険をするだけなら俺なんかと一緒に来る必要はない。知ってるんだろ? 俺は災禍の迷宮に行こうとしてるんだ。それにお前にはマナもいる。自分から危険な場所に向かうなんて馬鹿げてるだろ」


「そうね。私もそう考えようとしたわ。でも……私は、幼い頃から冒険者なのよ。マナが生まれる前から父さんと母さんに連れられて色んなところに行ったわ。知らない場所、美しい景色、強敵、自身の成長。沢山のものを得られるあの日々が懐かしくて、恋しいと感じる事が多いのは事実」


 遠くを見る様な瞳を見て、レイラの苦悩を感じた。

 本当は色んな場所を旅したかったのだろう。しかし、死んだ両親に代わってマナを育てなきゃいけないからこの街で生活費と学費を稼ごうとしていたのか。

 そしてマナもそれに気付いたのか、辛そうな表情を浮かべた。


「ごめんね……お姉ちゃんがマナを学園に行かせたいのは、邪魔だったから……」


「それは違うわ」


 即座に否定するレイラ。


「マナを邪魔だと思った事なんて一度もないわ。ただ、母さんが生きてた頃、学園の話をよくしてくれたでしょう? あの頃のアナタは、自分がそこに行く事を夢見てるみたいだったから、今でも本当は学園に通いたいんだと思っていたの。でも、それも違ったみたいね」


 ようやくお互いの本心をわかり合えた二人。

 きっと彼女達はこれから二人で色んな場所を旅するのだろう。

 二人に背を向けて静かに歩き出す。ここからは二人の問題だ、俺は今の内に退散を――


「あ! いい事思いついたよ!」


 その言葉にびくりとする。


「マナとお姉ちゃんとししょう、三人でパーティを組んだら良いんだよ!」


 俺は何度目になるかわからない説明をまたしなくちゃいけないのかと憂鬱になりながらマナに向き直るが、その役目はレイラが代わってくれた。


「マナ、リュートは世界で一番危険な場所に行こうとしてる大馬鹿者なのよ。しかもその目的を話すつもりはないらしいし。コイツに付き合ってたら命がいくつあっても足りないわ」


「……? リュートって誰?」


 ずっこけそうになった。

 そういえば自己紹介してなかったな。


「あ! ししょうの名前だね! でもお姉ちゃんは、ガイストおじさんに言われてししょうと一緒に行きたいって思ったんでしょ? なら、お姉ちゃんもおバカだね!」


「んなっ……」


「それに、マナはお姉ちゃんもししょうも、死んでほしくないよ。だから、皆んなで一緒にいれば守り合えるよ!」


 俺とレイラは顔を見合わせた。


「それにそれに、ししょうと一緒にいれば強くなれるって、マナは知ってるよ。お姉ちゃんもマナもまだまだ強くなりたいから、一緒に冒険する。どんなに危険でも、皆んな一緒なら乗り越えられるよ!」


 俺とレイラが同行を否定する度に、マナが同行を肯定する。どこまでも前向きな少女を説得する為の言葉が思い浮かばず、俺はつい弱音を吐いてしまう。


「俺は自信がない。危険な場所で仲間達を守り抜く自信が」


「私だって同じよ……でも……」


 少しの間目を閉じた後、レイラは言った。


「アランも言ってたわね。このチャンスを逃してはならない、アンタとなら強くなれると確信している、って。その気持ち、今ならよくわかる」


「いや、それは過大評価だって。俺の旅は自分のためだけに行うものだ。お前らがついて来ても何の意味もない」


「旅に意味を求めるものじゃないわ。旅をする事に価値があるのよ……だから貴方は、自分の旅をすればいい。私たちはそれに付き合う事を決めたわ。守る自信がないなら、これから強くなって自信を持てればそれでいい。最初から完璧である必要は無いんだし、成長する為の一年間、なんでしょう?」


 差し出された右手をしばらく眺める。

 俺はこの手を取るべきなのか?

 仲間が増えれば増えるほど、失う人数も増えるんじゃないのか?

 またあの時みたいに、目の前で友を死なせる事になるんじゃ……。


 迷っていた俺の右手を、小さな手が掴んで持ち上げた。


「はい! これで仲間だね! ししょう、お姉ちゃん、よろしくね!」


 マナの笑顔を見て考え直す。

 悲観的になりすぎていたけど、仲間は失うものじゃなくて、守るべきものだ。

 レイラの言う通り、これから強くなればいいんだ。


「えぇ、よろしく。それとマナ、リュートにはあと二人仲間がいるわよ」


「え!? ししょういつも一人ぼっちだから、友達いないのかと思った……」


 せっかく前を向いたというのに、子供の純粋な言葉が胸に刺さる。

 クスクスと笑うレイラを見て、やっぱりこの二人は似てるのかもしれないと思った。

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