第30話 英雄に憧れた少年
フォーゲル男爵家の三男として生まれた僕は、幼少の頃から不自由ない環境で暮らして来た。
父様に剣術を学びたいと言えば家庭教師を呼んでくれたし、家の書庫には様々な書物があった。剣の稽古がない時は、そこに籠って歴史書や英雄譚を読み耽っていた。
「アランは将来どうするんだ?」
ある日の食事時、家を継ぐことが決まっていた長男のセルゲイ兄様に聞かれた。
次男のレリック兄様は自分と同じ帝国騎士養成学園に来るよう勧めてくれたが、当時七歳の僕は既に決めていた。
「僕は冒険者になります。帝国を救った二代目勇者、フィン様のように強く勇敢な冒険者に」
その五年後、僕は宣言通り冒険者になった。
レリック兄様には「冒険者より騎士になった方がいい」と何度も考え直すように言われた。
でも、父様は僕のやりたい事を尊重してくれた。レリック兄様に昔とは違って騎士も冒険者も等しく立派な職業だと説明してくれた。
ただ、そんな立派な冒険者にも、もちろん悪い人はいる。
「ガハハ! 参ったな、貴族の御坊ちゃまが冒険者ギルドに迷い込んじまったようだ。よう坊ちゃん。迷子なら街の衛兵に道を聞くといいぜ。ここは迷子の道案内をする場所じゃねぇからな!」
初めて行った冒険者ギルドで、僕はレリック兄様が危惧した通りに揶揄われた。
男の言葉に周囲の冒険者達は大笑いしている。
兄様は、冒険者にはこういう品のない奴ばかりいるんだと言っていた。僕はそれを偏見だと思ったけど、兄様が嫌うような人種が多いのは認める。
でもこんな所で躓いていられない。
貴族でありながら冒険者として成功してる人もいるんだし、僕も負けてられない。
「丁寧な説明をありがとう。でも僕は冒険者登録をする為に来たんだ。道を開けてくれるかな?」
僕の態度が気に入らなかったのか、男は「訓練」と言いながら、僕を外の訓練場に連れ出した。
「先輩が指導してやるんだ、ありがたく思えよ」
「もちろん、貴重な機会を設けてくれた事に感謝しているよ」
そうは言ったけど、これが訓練じゃない事は明らかだ。
僕らが持っているのは本物の剣で、男は悪意を向けて来ている。こちらを怪我させるつもりだ。
だけど僕だって今まで訓練を怠った事はない。
片手剣を両手で構える体躯が小さい僕を男は嘲笑したけど、その数分後、倒れていたのは男だった。
「ご指導ありがとうございました、先輩」
首元に剣を突きつけたまま微笑むと、男は悔しさに顔を歪めて去って行った。
周囲で見ていた冒険者達もつまらなそうに散っていく。
他人の戦いから学びを得ようとするのが正常なはずなのに、彼らが期待していたのは僕が打ちのめされる姿だったのか。
その様子を見て僕は気付いた。
彼らは自分を諦めた人達なんだ。
冒険者の中で最も多いのはDランク。パーティを組めばCランクに届くか、それくらいの人達だ。
そのランクの冒険者が多いのは、一般人の成長に限界があるから、と言われている。故に恵まれた才能も、強い野望も持たない彼らはDランクを終着点として、その先に進む事を諦めてしまっているんだ。
ふと、虚しさが込み上げて来た。
僕にはこれといった才能がない。
幼い頃から色んな分野に才能があると褒められて来たけど、そのどれもが中途半端だと僕自身は知っていた。剣術にしろ学術にしろ、各分野で僕より優れた人は沢山いる。僕はいわゆる器用貧乏というやつだ。
それを知ってる僕も、彼らのように自分を諦めてしまうのだろうか?
成長出来ずに停滞し、下から上がってくる若者の頭を押さえ付けて、無理やり自分より下に留めて優越感に浸る、そんな嫌な大人に――
「ならない。なってたまるか」
頭を振って虚しさを振り払う。
僕には憧れがある。
幼い頃から幾度も触れて来た英雄譚は、今もマジックポーチの中に入ってる。
勇者フィン様のように平和を守り、弱きを助ける冒険者になるんだ。
この気持ちだけは、決して失わない。
⭐︎
冒険者になって四年、十六になった僕は再びあの頃の虚しさに襲われていた。
あれからランクも上がり、身体も成長し、できる事は増えた。
他の冒険者達に認められ、色んなパーティに誘われたし、何度か依頼に同行してみたけど、どのパーティでも上手くいった。
次第に僕を『新星のアラン』なんて呼ぶ声も出て来たし、その二つ名に見合う努力はしてきたつもりだ。
だけど、僕はBランクになって停滞してしまった。
割と早くここまで上がって来れたけど、実力的な成長は今では殆ど感じられない。
もうBランクになって一年が経つ。
一年前と比べて、僕は何か変われただろうか? 僕はいつから停滞していた? どうすればもっと強くなれる?
焦りばかりが積み重なっていく。
歳をとるごとに、あの時の冒険者達に似ていくんじゃないかと不安に思うこともある。
「そういや聞いたか? 元Sランクパーティ『
「はぁ? ブルタルって、そこの一軒家くらいデカくて、大木を引っこ抜いちまう様な怪力の魔物だろ? あんなのソロで倒せるもんなのか?」
ギルドに行けば様々な噂が耳に入ってくる。
それは僕とは比べ物にならない強者の話だったり、同年代で活躍してる冒険者の話だったり。
「ねぇ、その孤高のレイラって、今はどこで活動してるんだい?」
気が付いたら声を掛けていた。
レイラという人物は前々から気になっていた。僕と同年代でありながら、彼女の噂はずっと前から聞こえて来ていた。
レイラという少女の『強さの理由』を知りたかったんだ。
僕は自分の中にある英雄への憧れだけでここまで来たけど、今より強くなるにはこれだけじゃ足りない。自分の外にある『強くなる為の何か』が必要なんだ。
⭐︎
燃えるような紅色の髪と、視線の先を射抜くような紫色の瞳。
人が放っておくはずがない程の美しさを秘めながらも、誰も寄せ付けない様な威圧感を放っている。噂通りの少女を見て、彼女が孤高のレイラだと直ぐにわかった。
東方に『綺麗な花には棘がある』という
「はじめまして、君が噂の孤高のレイラだね。僕は――」
リベルタの街の大きなギルドにて、僕は生まれて初めて他人に無視されるという経験をした。これは結構傷付いたね。
レイラは僕に気付いてはいたけど、まるで話す価値がないとでも言うように依頼ボードの紙を取り、そのまま受付に向かった。
チラリと盗み見ると、彼女が受けようとしてる依頼は二件。どちらもこの街の南で済む討伐依頼と採取依頼だ。
「ぶ、ぶははは! いやぁ、こんな美男子でも女子に無視される事があるんだな……っぷ、がはは!」
肩を叩く大きな手と、後ろから聞こえた隠そうともしない笑い声にため息を吐きながら振り返る。
「そんなにからかわないでよ……って――ガイストさん!?」
驚いた。暁の宴のリーダーがこの街のギルドマスターをしてる事は知っていたけど、まさかこんな気軽に会えるなんて。
「おう。お前さんは新星のアランだな? この街に来るとはいいセンスしてるぜ。だが、来て早々レイラの嬢ちゃんが失礼な態度とって悪かったな」
「そんな、僕は気にしてませんし、ガイストさんが謝る事でもありませんよ!」
「そう言ってくれるのはありがたいけど、俺はマックス達の娘が変な誤解されるのが嫌でな……。お前さんも知ってるだろ? あの子の両親は依頼の途中で亡くなったんだ。娘二人を残してな。レイラの嬢ちゃんは妹を良い学園に進ませる為に必死になって稼いでんだよ。だからチョイと周りが見えなくなっちまってんだ。本当は優しい子なのさ」
さっきレイラが受けようとしていた依頼は効率重視のものだった。それは短時間でたくさん稼ぐ為に厳選したものなんだね。
「……なるほど、話してくれてありがとうございます」
僕は少しがっかりした。
彼女は、自分の冒険をやめてしまったんだ。
もちろん家族を養うために働くのは立派だし、尊敬する。
でも僕が探していた『強くなる為の何か』はここにはない。
そう思っていたら、ガイストさんに話を振られた。
「お前は剣士か? 興味があるなら左手に盾を持ってみないか? さっき俺が叩いても体の軸がブレなかったし、素質あるぜ」
その日から、僕は暇があればガイストさんと手合わせするようになった。
彼との訓練は非常に有意義だったし、新たな技術がどんどん自分のものになっていく感覚は久しぶりに感じた。僕はこの成長する感覚が好きだ。
でもそれも暫くすると停滞気味になってくる。
ガイストさんは僕に「焦り過ぎだ」とよく言った。僕は自分の中にある虚しさを吐露したことは無いけど、ガイストさんは戦ってる相手の感情に敏感だ。
彼と戦えるのは光栄な事だけど、戦えば戦うほどガイストさんの強さがわかり、その度に僕は自分との差を感じて焦ってしまう。
それでも彼に教えを乞う事だけはやめなかった。
そんな日々の最中、依頼から戻った僕はギルドがいつも以上に騒がしい事に疑問を抱き、入り口で立ち尽くしていた。ギルドの壁に防音の魔道具が埋め込まれてなかったら、近隣の住民から苦情が来そうだ。
「あ、アランじゃーん! 帰って来てたのねぇ」
食堂から千鳥足のミスティナさんが寄って来た。かなり酒臭いけど、食堂にいる大人達は皆んな彼女と同じ状態だ。
「えっと、なにか宴会でも開かれてるのかな?」
「そうよぉ、宴会よぉ。私達をボコボコにしちゃった可愛い男の子が、ギルマスと戦って本気にさせたのよぉ。んで、ギルマスはスキルを使った罰で、みんなに奢ってくれてるのよぉー? アランも飲んで行きなさいよぉ」
ボコボコにされた? ガイストさんまで?
「……は? えっと、襲撃でもあったのかな?」
要領を得ないミスティナさんの話に戸惑っていると、奥から体中に怪我を負ったガイストさんが歩いて来た。
「あ! ガイストさん! 一体何があったんですか! 貴方までそんな怪我を負うなんて……」
「まぁ、落ち着け」
掠れた声でガイストさんは言うけど、この時代に『庇護のガイスト』に傷を負わせられる人なんて、一体どれくらいいるんだろう。
その後、僕はガイストさんに連れられて奥の部屋で説明を受けた。
突然やって来た東方人にキース達が喧嘩を売って返り討ちにされた事。
東方人は災禍の迷宮に潜る為に試験を受けた事。
そこでガイストさんは本気にならざるを得なくなり、罰則で今日の食事代を支払っている事。
「だから食堂は宴会状態なんですね……でも、その東方人は危険な人ではないんですか? 皆んなボコボコにされたって聞きましたし、ガイストさんも……」
「まぁ、一応喧嘩を売ったのはアイツらだし、自業自得だ。俺に関してもついアツくなっちまった。それに、アイツ……リュートは悪意や敵意なんかをこれっぽっちも持ってなかった。強いて言えば……レイラの嬢ちゃんに似てたな。視野が狭く、目的だけを見据えてそこに向けて突っ走ろうとしてる。俺たちはその道の途中に立ちはだかったから、邪魔者として追い払われたに過ぎない」
「目的……そのリュートという東方人は何故災禍の迷宮に入ろうとしてるんですか?」
「そう、それだ。アイツは適当な事言ってはぐらかそうとしたけど、尋常じゃない程あの迷宮に執着している。その理由は多分悪い企みじゃないんだろうけど、俺が心配なのは……」
ガイストさんは一度深呼吸をしてから声のトーンを一つ落とした。
「……ここからの話は他言無用で頼む」
そして説明されたのは、リュートが迷宮に行く前にフィオナという人物に会いたがっている事。
この人については「詳しく話せないし、俺もよく知らない。だが凄い人だ」と説明された。
でもその人の目的がわからない。
フィオナさんはいつも何かの目的の為に行動してるらしく、無駄な事はしない。
そんな彼女がリュートに会いたがってる事を、ガイストさんは不審に思っている。
「俺が見たところ、リュートは賢い。なのにガキみたいに常識を知らない。俺がありきたりなギルドの説明をした時、アイツは俺の話の全てを真剣に聞いていた。まるで初めて聞く話かのようにな。だからこそ心配なんだ。物事を知らない子供が、フィオナの目的の為に利用されるんじゃないかと」
「なるほど……。ガイストさんがリュートを心配する気持ちはわかりましたが、何故その話を僕に?」
「あぁ、お前に頼み事をしたくてな。でもこれはかなり危険な事だし、断ってくれても構わないんだが……」
そう前置きしてから告げられた言葉。
「リュートのパーティに加わってアイツを助けてやってくれないか?」
その瞬間、ずっとモヤモヤしていた気持ちが晴れていく感じがした。
停滞していた時間が動き出したみたいだ。
「俺はアイツがフィオナに利用されるのは嫌だし、迷宮で死んでほしくもない」
ガイストさんに傷を負わせ、ここまで認めさせる程の実力をもった少年。
その少年を利用しようとしてるのは、ガイストさんでさえ一目置いているフィオナという謎の人物。
僕の知らない場所で、物語が動き出そうとしていた。
「そして停滞感に悩まされてるお前も放っておけない。これは俺の経験則なんだが、俺らみたいな凡人は強い奴の側にいると感化されて成長出来るんだ。お前さんが興味あるなら、是非アイツと――」
僕が彼に関わる事が許されているのなら、答えは決まっている。
「わかりました。僕もリュートに協力します」
その後、彼が使う魔法や、共に行動していた白猫族のミーシャという少女についても話を聞いた。
リュートがパーティを組みたがらない事も知った。
僕は彼に受け入れてもらえるだろうか?
⭐︎
翌日、ギルドの地下でガイストさんとの訓練を終え、上の階に戻った僕は人垣を見つけて近付いてみた。
そこにいたのは昨夜ホテルで会った東方人だ。まさかとは思ったけど、本当に彼だったのか。正直、彼が強いなんて簡単には信じられない。東方の名家出身の子供にしか見えなかった。
彼に声を掛けると、驚くほど冷たくあしらわれた。昨夜も思ったけど、僕は彼に嫌われているのかな?
ガイストさんの計らいもあって、なんとか依頼に同行することが許された。
彼はゴブリンの前で狼狽えたり、周囲の警戒もせずに森をズカズカと歩いていた。
僕はだんだんと心配になっていった。
皆んなは僕を騙そうとしているのか、と。彼と話していると知識を吸収しようとしてるのはわかるし、たまに言う皮肉は知性の高さを表している。
でも、フィールドに出てからの彼は、まるで向こう見ずな新人冒険者だ。いや、新人冒険者なのは事実だけど、彼に力があるようには見えなかった。
しかし、そんな僕の疑念はすぐに消え失せた。
「見つけた」と言ったリュートの方を見た時、僕は自分の今までの考えが浅ましいものだったと知った。
彼の目を見た瞬間背筋が伸びる思いがした。
その瞳は真っ直ぐ前に向けられていて、これから行われるのが命の奪い合いなんだと再認識させる様な真剣さを帯びていた。
彼が森を無警戒で歩いていたのは、警戒する必要がないくらい広い感知能力を有していたからなんだ。
その後の戦闘は驚くほど簡単に勝利を収めることが出来た。
リュートは魔法使いでありながら近接戦を厭わない。俊敏な動きで敵の攻撃を避け、高火力の魔法を何度も撃ち続けた。
ミーシャに関しても、無口で何を考えているのかわからないと思ってたけど、彼女は仲間の行動を見て、的確なタイミングで支援をしてくれた。僕が複数の敵を相手にしても動きやすかったのは、彼女が土の槍で敵を牽制してくれたからだ。
強い人達だと、素直に感心した。
そしてこの関係を今日で終わらせたくないとも。
僕らはリュートが作ったシチューを食べながら話をした。
彼の料理のセンスには驚いた。そこらの料理人よりも優れた腕を持ってるのではないか。だけど彼は、これくらい普通だとでも言うように僕の感動を軽く流した。彼の正体が気になってしょうがない。
昼食を食べ終わったタイミングで僕は改めてパーティへの加入をお願いしようとした。
だけど彼は、再び優れた感知能力を発動させて、離れた場所を走っていたマルスを見つけた。
マルスの話では、キングウルフ達に襲撃されたらしい。それを聞いて僕はギルドに応援に行く事を考えた。この人数でウルフの群れを相手にするのは犠牲者を増やす可能性が高いからだ。
だというのに、リュートは一人で走って行ってしまった。
いくら彼でも厳しいはずだ。
応援を……。
そう考えていたらミーシャまで走って行ってしまった。
「行くしかない……!」
頭の中で考えてた色々な事が吹き飛んでしまった。
僕は二人に流される様に走り出した。
そして、僕が辿り着いた時には既に戦いの半分が終わろうとしていた。
目の前の光景を見て僕は心が震えた。
テッドとミーナを守りながら敵を蹂躙していくリュートの姿は、まるで物語の英雄が目の前にいるかの様だった。
僕が手伝う必要なんてなかったかもしれないけど、後ろからついて来たマルスと仲間達を合流させて、戦いに参加した。
全てが終わった後、僕は過去の事を思い出していた。
僕がBランクに上がってすぐの頃、似た様なシチュエーションがあった。
あの時の僕は、同じフィールドで知り合いのパーティが別の仕事をしてる事を知っていたから、彼らに協力を求めてから瀕死の冒険者の救助に向かった。
あの街のギルドマスターは「冷静で賢明な判断だった」と評価してくれたけど、襲撃に遭っていた冒険者の一人は左足を失って冒険者を引退した。
それを彼やその仲間に責められた事はないけど、僕はたまに思い出しては自責の念に駆られる。
あの時、僕が一目散に駆けつけていれば彼は足を失わずに済んだのではないかと。
こんな時、かつての英雄達は迷いもせずに助けに向かうのに、僕はそう出来なかった。
この不甲斐なさをリュートに話したら、彼は「クソみたいにつまらない話だ」と一蹴した。
慰めてもらいたかったわけじゃないけど、とんでもない事を言う人だなと思った。
でもその後のリュートと、その仲間のミーシャの話を聞いて納得した。
英雄願望を理解出来ないと吐き捨てたリュートと、それでも彼を英雄と呼ぶミーシャ。
彼らの出会いを僕は知らないけど、話を聞く限りリュートはミーシャを助けたらしい。
そしてミーシャは、自分を助けたリュートを助けたいと思っている。
その話を聞いて、僕は自分を恥じた。
ここ数年、僕は強くなれない自分に焦り、自分の事ばかり考えていた。今回彼らに同行したのだって、自分が強くなる為だった。
けどミーシャはリュートを助けたい一心で危険な旅に同行している。
誰かを助けたいと願う気持ちを、僕は子供の頃に置いて来てしまったのか。
「貴方は変わりたいと思ってる。だからパーティに入りたいんでしょ?」
そうだ、僕は変わりたい。
でももう誰かになろうとは思わない。
僕は自分がなりたい自分になるんだ。
僕は誓った。自分も仲間も必ず守り通すと。
そして言葉にはしなかったけど、リュートが不安に思わなくてもいいくらい強くなって、困難な道を進む彼を助けたいと思った。
リュートは秘密が多いけど、いつの日か僕を信頼してくれる日が来れば、彼は打ち明けてくれるだろうか?
そんな日が来るように、僕は精進するだけだ。
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