五分の遅刻①
今でもあの日のことを夢に見る。
五分の遅刻によって彼を失ってしまった日のことを。
この日のことを夢に見てしまった日には決まって目覚めが悪い。
私にとっては思い出したくないほど悲しい出来事なのだから。当然といえば当然だ。
今でも夢に見るほどなのだから、私は彼のことを相当引きずっている。
彼は高校の同級生だった。彼を一言で表すなら「まじめ」だと思う。
彼が「まじめ」なら、私は「ふまじめ」だろう。
素行が良い悪いの「まじめ」・「ふまじめ」ではなく。
時間にルーズかそうでないかの「まじめ」・「ふまじめ」だ。
時間を大切にする彼と、ルーズな私。
正反対な私たちだが、三年間もクラスが一緒だったらそれなりに関りもあるし仲良くもなる。
まあ、最初こそお互いに印象は最悪だったと思うが、、、
彼とは夏休みの野外学習で同じ班になったことがきっかけで話すようになった。
事前準備自体は学校がある間に終わらせてしまっていたので、お互いの印象にはプラスもマイナスもなかった。
ではどこでイメージがどん底まで落ちたのだろうか。
それは野外活動当日の集合だった。
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