―第三話 悪役令嬢登場―
「皆さん、ご機嫌よう」
学校に着くと、いつも通り彼女の声が聞こえてきた。え?彼女って?ああ、彼女の名前はマリー・ユリカ。トップクラスの令嬢ではあるけど、性格が本当に最悪。今日もみんなの前では猫を被っているみたい。
「あら、シルバラ様ご機嫌よう。今日も格好いいですわ」
「あ、ああ。それはどうも。ユリカ様も素敵ですよ」
「またまた、そんな御冗談を〜」
シルバラに素敵だなんて言われて調子に乗っているんだろう。あれはどう考えても冗談だろうけど。 ふと、彼女が私の方を見た。
「あら、ユイ様ご機嫌よう。衣装は似合っていらっしゃいますけど、シルバラ様のお隣は似合ってないですわよ。ユイ様より私のほうがシルバラ様にお似合いだと思いますの。ねえ?皆さん?」
周りにいた他の令嬢たちがこくこくと頷いた。彼女に逆らえばどうなるかくらいみんな知っているので、誰も逆らおうとしない。まぁ、そうなることくらい私にも予想はついていたのだけれど。
「ええ、いつでもシルバラ様のお隣はお譲りしますわよ。私も、ここにいたくているわけじゃないので
「あらあらそうでしたの?早く言ってくださればよかったのに。シルバラ様もユイ様より私のほうが良いでしょう?」
「別にどっちでも良い。誰もそんなこと気にしない」
と言ってシルバラはさっさと歩いていった。
「またまた〜、シルバラ様は素直じゃないのですから。あ、ちょっと待ってくださ〜い」
彼女もシルバラの後を追って去っていった。
途中振り返ったシルバラが悲しそうな顔をしてこちらを見ていたように見えたのは気のせいかしら?
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