―第一話 二人の出会い―

私ユイの住む国では、幼いうちに親が婚約者を決める。というのも、うちの国は身分がはっきりとしていて、私の家は一応トップに君臨する。要するに、私はお嬢様である。婚約者はこの国で知らない人はいないエルバップ家の第二王子シルバラ・エルバップ。第一王子のルキア・エルバップとは違い、他人に対してはほとんど心を開かないと言われており、それが故に彼に話しかけようとする人もほとんどいない。ただ一人を除いては。ハリヤ家第二王子のラピス・ハリヤ。二人はどうやら幼馴染らしくシルバラ王子もラピス王子には心を開いてるみたい。


「ユイ、こちらはお前の婚約者のシルバラ・エルバップ王子だ。あのエルバップ家の第二王子だぞ!ほら、挨拶しなさい」

「あ、えっと…コトカ・ユイと申します。よろしくお願いいたします」

「おい、シルバラ。お前も挨拶しなさい。ごめんね、ユイちゃん、この子人見知りで」

「シルバラ・エルバップだ。よろしく」

これが私たちの出会い。幼いときはよく一緒に木に登って遊んだり、ピアノを弾いたりして仲が良かった。私にも心を開いてくれているんだと思ってた。

「ユイ、どっちのピアノがお父様たちを喜ばせられるか勝負しようぜ」

「いいわ、まぁ負けないけどね」

「臨むところだ」

あの頃は楽しかった。いつからあんなふうになってしまったのかしら?

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