第25話 三つ巴の戦い

☆(矢口基介)サイド☆


アーリャ。

今更接触なんてどういうつもりなのだろうか。

考えながら俺は下駄箱で靴を履き替えてからそのまま音心と一緒に教室に入る。

すると俺はゾッとした。


「.....お前.....」

「.....やあ。やっちゃん」

「.....何をしているんですか」

「見て分かる通り。私もこの学校に転校して来てね。それでクラスメイトと懇談を深めていたんだ」

「.....何様のつもりなんですか」


そんな言葉を言いながら音心は眉を顰める。

それから眉を思いっきり歪ませる。

マジにキレている様だ。

俺はそんな音心を置いてからそのまま「アーリャ」と声を掛ける。

するとアーリャは「何」と聞いてくる。


「.....すまないが俺はお前とは話が出来ない。だからこんな真似をしないでくれるか」

「そう言われても私は君を手に入れるまでは諦めるつもりは無いの」

「.....いい加減にしろ。俺はお前に幾ら積まれても行く気は無い」

「これが何十億でも?」

「.....金の話じゃ無いんだ」


その言葉に音心は「そういう事です。だから諦めて下さい」とアーリャを威嚇する。

教室のクラスメイト達も何か異変を感じた様に俺達を見ていた。

アーリャは盛大な溜息を吐いた。

それから俺を見てくる。


「私が必死のお願いをしていますがこれでもダメ?」

「そうだな。.....俺はもう絵は描けない」

「.....じゃあこのお願いは聞いてくれる?」

「.....どういうお願いだ」

「私と付き合って」


その言葉にクラス中が「は!?」と固まった。

俺も愕然としながら。

音心も「!!!!?」となりながらアーリャ、彼女を見る。

するとアーリャは俺の腰に手を回してきた。


「.....私は貴方が好き。.....昔からね」

「.....冗談でもよせ。そういうつまらない事は」

「冗談でこんな事言わない」

「.....どうせお前の事だ。また揶揄っている.....」

「そんな訳ないでしょ」


そう言いながらアーリャは涙目でふくれっ面になる。

俺は「!?」と思いながらアーリャを見る。

へ?と、という事は?

ガチで俺を好いているのか!?

赤くなってモジモジする。


「.....言わせないでよ.....」

「どういう事だ.....」

「あ、貴方が好き!わ、悪い!?だから貴方が欲しかったの!!!!!」

「.....!」


そんな言葉を吐きながら真っ赤になるアーリャ。

こんな姿は見たことが無い。

正直初めて見た気がする。

ああ.....そんなに好きなんだな。

そう思っていると音心が「待って」と厳しい顔をした。


「.....何?」

「申し訳ないけどそれは認められない」

「.....?」

「良い事にしようとしていますね?.....貴方と基介の大喧嘩は基介は本当に傷付いたんですよ?」

「.....そ、それは.....」

「それを考えると認められないですよ。貴方が近付いて来るの」


そんな厳しい事を言いながら音心は「それにいきなりそんなのって。.....絶対に何か裏があるって確信しています」とも話した。

俺は「確かにな」と音心と一緒にアーリャを見る。

アーリャは見た事も無い様な顔で「お願い。信じて」とクールさを壊しながら必死に弁明する。


「ずっと探していた。.....ずっとやっちゃんを探していた。.....私はやっちゃんが好きなの!!!!!」

「.....アーリャ.....」

「認めません」


音心が遮る。

だがアーリャは「貴方なら分かってくれるよね?」と俺を見てくる。

音心も俺を見ながら答えを待つ。

その追い詰められた事態に俺は汗をかく。

そして苦笑いを浮かべながら「取り敢えずは話でも聞いてやったらどうだ」と音心に提案する。

すると音心は「優しすぎるよ.....」と言いながら考え事をする。

だがそれから溜息を盛大に吐いてから「分かった」と返事をしてくれた。


「少しぐらいなら話を聞いてみても良いかもね」

「ありがとう。音心」

「.....でも少しだけだから」

「そうだな。少しだけな」


それから俺はアーリャを見る。

アーリャは俺を見ながら赤くなって目を逸らす。

やれやれだな。

そう思いながら居るとドアが開いた。

そして「認められない」と言葉が飛んでくる。

それを放ったのは.....荒木だった。


「.....私は認めない」

「.....佐藤さん?」

「お兄ちゃん。.....私は.....」

「認めないってのはどういう事だ?」

「.....彼女が。.....好きなの。貴方の事が」

「.....彼女?.....か、彼女.....まさか!?」


「これだけは言いたくなかった。だけど貴方を好いているのは表だけじゃ無いって事を知ってほしい」と俺に向いて来る荒木。

ま、まさか!?

俺は真っ赤になりながら荒木を見ながら汗をかく。


「.....え?それってまさか.....」

「.....?」


音心は驚きながら。

その中でアーリャは「?」を浮かべている。

俺はその荒木の言葉に赤面する。


何というか。

俺だけが全てを知っていた。

その全貌の全てをだ。


「.....それは言っても良いのか。荒木」

「.....本人には許可を取ったから。.....だから問題はない」

「.....」


こんな絵も描けない様な屑を好きになってどうするんだよ。

そんな事を思いながら荒木を(信じられない)という感じで見る。

するとアーリャが「.....どういう事?」という感じになる。

そして警戒し始めた。

荒木はそんなアーリャを見る。


「貴方だけじゃないって事。.....それだけは知っておいてほしい」

「.....」


3人が何かバチバチと火花を発している。

その.....俺は置いてけぼり?

思いながら俺は苦笑いを浮かべながらその3人を見ていた。

赤くなってしまうのだが。

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電車痴漢から救った女子は日本中で超超超有名なアイドル様でした.....。 アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

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