第19話 焦がした料理
☆(犬養智子?)サイド☆
何かあってはいけない気配がした!
そんな気持ちをピンと察しながら私は女子トーク会を終えて帰る。
だけどまあ.....気のせいだろうとは思うけど。
ああでもいつもこんなのだな私。
人を疑う事をあまりしない。
「.....」
そんな事を思いながら私はかえちゃんと別れてから帰り道を歩いて帰る。
すると目の前から歩いて来た人とぶつかった。
考えごとをし過ぎた様だ。
これはいけない!
「だ、大丈夫ですか?」
「あ、は、はい」
見るとあの時の女子だった。
身長は私より5センチ高い感じの高身長の女子。
確か名前は.....そう。
音心ちゃんだったな。
今となっても可愛らしい顔だなって思う。
「あ、あの!?もしかして貴方は真紀ちゃんだったんですか!?」
そんな女子にそう言われた。
私はぎょっとしながら伊達眼鏡を触るが。
伊達眼鏡もマスクも取れていた。
ぶつかった衝撃であろう。
「.....えっと.....そ、そうです」
「あ。これ眼鏡。今ならきっとばれてないですよ」
「あ、ありがとう。.....お、お詫びしないと」
「え?何でですか?」
「え?だってこちらから激しくぶつかったのだから.....」
「そんなの良いですよ」と音心さんはニコッとしながら言う。
それから「あ、じゃあもし良かったら荒木さんの事について教えてくれませんか。か彼女とは知り合いなんです」と言ってきた。
私は驚きながら音心を見る。
音心は「とは言ってもちょっと前に知り合いになったばかりなんですけど」と苦笑しながら頭を掻く。
「.....そうなんだね」」
「.....はい。そうなんです」
「.....ゆうちゃんは.....いや。荒木さんは良い子にしてる?」
「とっても可愛いです。食べちゃいたいぐらいです」
「.....それは言えるね。あはは」
私は笑顔になりながら「じゃあまた改めて」と頭を下げる。
すると音心ちゃんは「はい」と笑顔になる。
それからハッとした。
そんな彼女の手に矢口さんの家にあったお菓子が握られていたからだ。
私は顔を上げる。
「し、失礼だけど.....矢口さんのお部屋に?」
「あ、そうです。何だかめっちゃ片付いていて驚愕ですよ~。だって片付けしない男性ですもん」
「.....」
「.....?.....真紀さん?」
まあ気付かれてない様だ。
考えながら私は居ると音心ちゃんの目が私の持っているハーブティー専門店の袋に行っていた。
「?」と考えてハッとする私。
まさか!?
「ここの.....紅茶飲みました。美味しかったですよ。基介の家の中に有ったんですけど.....あれぇ?」
「.....そ、そうなんだ」
「.....」
「.....」
私は目線をゆっくり逸らす。
鞄の中に入れておくべきだった。
思いながら居るとジト目をされた。
「まさかと思いますが」という感じでだ。
私は汗をかきまくる。
「基介の家に行ってます?真紀さん」
「.....な、何の事かな」
「.....」
「.....行ってます」
「ですよね。何だかおかしいって思いました」
そして苦笑いを浮かべる音心さん。
私は「?」を浮かべてその顔を見る。
音心さんは「えへへ。そうなんですね」と喜んでいた。
私はますます「???」を浮かべる。
それから「どうして?」となる。
「私が大好きな基介にそんなに構ってくれてありがとうございます」
「.....あ.....や、やっぱり好きなんだね」
「.....はい。実は告白もしました」
「.....え?」
心臓が撫でられるような感触がした。
それから私は慌てて聞く。
「そ、それで。お返事は」という感じでだ。
すると音心さんは「貰えませんでしたっていうか私が保留にしたんです」と答える。
「.....そ、そうなんだ」
何で私はホッとしているのだろう。
こんな気持ちは.....ああ。
成程な。
私は矢口さんという隣人という(仲間)を取られたく無いんだな。
これは恋じゃない。
そうだ。
「矢口さんがお世話になってます」
「.....そうですねぇ。でも私がお世話になりっぱなしだと思います」
「そうなんですか?」
「そうですよ。あはは」
笑顔になりながら恥ずかしがる恋する乙女。
私は焦りを感じた。
何故こんな気持ちになるか分からないが。
私はそんな思いを抱えながら「アドレスを交換しましょう。それからゆうちゃんについて色々と教えてあげます」と取り繕った笑顔を浮かべる。
「そうですか?是非是非。嬉しいです」
「.....うん。私も嬉しいかも」
「じゃあ私達はお友達ですね」
「.....そうだね。うん」
そして私は音心さんと連絡先を交換し合ってからそのまま別れてから帰宅した。
それから早速と夕食を作るが。
焦りが正直体を包んでおり。
私はボーッと考え事をして有り得ないぐらい料理を焦がしてしまった。
こんな料理の失敗なんて初めてだ。
黒く焦げ臭い。
何でなのだろうか.....?
何故こんな感情になるのだろうか?
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