第18話 音心の愛
☆(矢口基介)サイド☆
さ、寒気がした。
何故か分からないがあまり宜しく無い感じだった。
俺は汗をかきながら周りを見渡す。
しかし何もない。
何だったのだろうか今のは。
「.....しかし」
そんな事を呟きながら俺は9月の空を見上げる。
今、真紀と鬼門は荒木の所に行っている。
なので俺は少しだけ暇を持て余していたので空を眺めている。
するとインターフォンが鳴った。
「.....?.....新聞か?」
そんな事を呟きながら俺はインターフォンを覗く。
そこに.....音心が居た。
俺は慌てながらドアを開ける。
そこにケーキを持った音心が居た。
「やあやあ」
「.....?.....どうした?音心」
「話そうって思って。少し.....ね」
「.....成程な。中に入るか?」
「それは勿論」
そして音心は中に入って来る。
それから何かに気が付いたのかハッとした。
「部屋が綺麗すぎる」と音心が言う。
俺はギクッとなりながら「そ、そうか。たまには片さないとなって思ってな」と慌てて解説した。
「.....そうなんだ?でも何だか.....綺麗すぎない?」
「.....それは気のせいだろ」
そんな会話をしながら鼻を動かす音心。
俺は汗をかきながらその姿を見る。
何て感が良いのだコイツは。
不気味すぎる。
そんなに片しているかな?
「うーん?」
「.....ま、まあ座ろうぜ。とにかく」
「そうだね。.....うーん。何か違和感があるけど」
流石に女子に入られてばかりとは言いずらい。
俺は考えながらホッとしながら音心を見る。
すると音心は「紅茶淹れて~」と話した。
その言葉に「はいはい」と言いながら紅茶を.....ん?
これはハーブティーか?
「どうしたの?」
「.....いや。ハーブティーが有るから.....」
「?.....買ったものじゃなくて?」
「俺は買って.....あ。いや。俺が買ったな」
「うーん。そうなの?でもハーブティーとか飲むタイプだっけ?基介」
「.....」
真紀め.....。
心臓が止まりそうになったぞ。
俺は汗をとにかくかきながら「ま、まあ座ってろよ」と言う。
すると「うん」と言いながら音心は座る。
テレビを点けて寝転ぶ。
我が家か?
「おい。音心。ここは我が家じゃ無いぞ」
「良いじゃない。私と君の仲だからね」
「.....まあそうだけどな」
「私は君の家は我が家って思っているから」
と言いながら笑みを浮かべる音心。
するとテレビでは真紀、鬼門、荒木の姿があった。
トゥインクルスターの歌の紹介だった。
俺はその姿を見ながら紅茶を淹れる。
「夕凪さんも可愛いよね」
「.....ああ。お前ファンだったっけ?」
「夕凪さんのファンだね」
「.....そうか。応援する対象があるっていうのは良いよな」
「そうだねぇ」
そんな事を会話しながら居ると音心が何かを見つけた様に手を伸ばす。
それはハンカチだった.....それも女性ものだった。
可愛いキャラクターの。
俺は青ざめる。
そしてジト目になる音心。
「.....誰の?」
「い、いや。それは俺のだ」
「.....流石に嘘が大きいね。.....これは誰のかなぁ?」
「.....」
「まあ良いけど」と言いながら音心はハンカチを机に置く。
それから俺を見てから口をへの字にする。
「隠している事とか無いよね?」と言ってきた音心。
俺は「.....」という感じになって「ない」と返事をする。
「そっか。分かった。.....じゃあさ」
「.....ああ。何だ」
「.....秘密の無いお互い。付き合おう」
瞬間。
俺は数秒間考えて手元のコップから紅茶が溢れたのに気が付く。
思いっきり。
それよりも今なんて言った。
音心は.....今なんて言った!!!!?
付き合ってくれる?って言ったか!!!!?
「待て。音心。聞き逃した。今なんて言った。俺と付き合う?」
「そうだよ。.....私は君が異性として好きなの。.....今のタイミングなら良いかなって思って」
「.....!!!!?」
「私はずっと隠すのは嫌だなって思って。君が好きだという気持ちを」
「.....」
俺は「待て。何で俺なんかを」と言う。
すると音心は「うん。何でだろうね」と顔を朱に染めてニコッとする。
その姿を見ながら「今日来たのは告白する為か」と聞く。
音心は「だね」と回答した。
そして伸びをする。
「うん。でもいいや。やっぱり今はこの答えは要らない」
「.....何故?」
「分かってる。.....君は.....今は付き合えないのを」
「.....」
「君は.....付き合えないよね。私と」
「.....というか気力が無い」
「だけどお前が好きって言ってくれたその気持ちをないがしろにしたくはないな」と俺は音心を見る。
そして「いつかその分、答えを出す」と音心をしっかり見据える。
すると音心は「だねぇ」とニコッとした。
それから音心は両手を広げた。
「じゃあお預けのハグをして下さい」
「.....な、何故?」
「それぐらい良いでしょ?私と君の仲だから」
「.....だが.....」
「ハグしてぇ」
「おい」
エロく言うな。
そう思いながら俺は音心を見る。
その姿に俺は紅茶の入ったポットを置いてから抱き締める。
そして一回ハグされてから音心は離れた。
それからニコッとする。
「さんきゅ」
「.....お前な。クッソ恥ずかしいからな」
「そうだねぇ」
「.....」
本当に分かっているのかコイツは。
思いながら俺は音心の額にチョップした。
すると音心は「あう」と言いながら(*'ω'*)という感じの顔をした。
俺はその顔を見ながら盛大に溜息を吐いた。
コイツな。
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