第12話 以心伝心
☆(矢口基介)サイド☆
何故アイツは.....というか真紀は俺を追跡して来たのだろうか。
そんな事を考えながら俺は授業を受けた。
すると途中で音心が話し掛けてきた。
「ねえねえ!今日は一緒に帰る!?」という感じで無邪気そうに。
俺はその姿を見ながら苦笑いを浮かべる。
「お前部活だろ」
「うん。サボって良いんだよ?」
「馬鹿野郎。ちゃんとやれ。その後に報酬はくれてやるから」
「ぶー。けちんぼー」
「けちんぼじゃない。仕事はやれ。きちんとな」
そんな会話をしていると背後に視線を感じた。
俺は「殺気!!!!!」と言いながら背後を見る。
そこに何故か知らないが。
荒木夕凪が.....。
「な!?おまえ!?」
「.....ここでは私は佐藤美奈子です」
「.....さ、佐藤美奈子?.....そ、そうか」
「こんな大勢の前で貴方は浮気ですかな?」
「浮気じゃないぞ!?」
何で佐藤が.....というか!
荒木が此処に居るんだよ!!!!?
どうなっている!?
俺は大慌てで居ると荒木に興味を持った音心が話し掛ける。
「うん?君は?」という感じでだ。
「私は矢口基介の恋人」
「.....嘘ばっか吐くなお前.....」
「.....」
見ろ!音心が「へ?」という感じになっている。
何を適当な事を言ってんだ!
思いながら俺は荒木の頬を摘まむ。
それからもちもちほっぺを上下に動かす。
「ほへー」
「適当な事を言うな。.....全くお前は」
「私の本心」
「やかましいわ!!!!?」
そんな会話をしているとクラスメイトが「なんだなんだ?お前は二股かぁ?」とニヤニヤして聞いてきた。
俺は「違うわ。そもそも誰とも付き合ってない」と額に手を添える。
すると荒木が俺の腕を掴んだ。
それから腕を回して恋人繋ぎをす.....おぃ!
「恋人」
「.....あのなぁ.....ジョークでもキツイ」
「ふ、不埒だよ.....基介くんや」
「お前な。何を誤解している。コイツはこういう性格なんだ」
「そもそもどこの誰なのよ?」と音心は口をへの字にして聞いてくる。
俺は「うーん.....どこの誰と言われたら.....」と悩んでいると荒木が「私は犬養さんの親戚です」と答えた。
「犬養.....あ!」と笑顔になる音心。
覚えていたのか。
「じゃあ悪い人じゃ無いね」
「物凄い漠然とした判断だな。それで良いのか」
「私は構わないよ。だって.....あの子は悪い子じゃない」
「.....音心.....」
笑顔になりながら音心は答える。
それからニコニコした。
その顔に荒木は「.....!」という感じになって黙り。
そして俺から離れた。
「まあ冗談は置いて」
「冗談だったのかよ!!!!!」
「ふむ。そうであるが」
「で?何の用事だったんだ」
「ふむ。.....用事と言うのは校舎内を案内してほしい」
ああそういう事か。
俺は考えながら「構わないぞ」と返事をする。
すると何故か音心が手を挙げた。
それから「私も付いて行っていい?」と言う。
「え?いやそれは構わないけど。でも面倒じゃ?」
「何で?邪魔かな?私」
「邪魔とかじゃ無いけど。ただこういう役目は1人でも構わないぞって話だ」
「.....うーん。そうかな?」
そんな事を言いながら「まあいいじゃない」とニコッとしながら音心は俺に寄り添って来た。
俺はその姿に「オイオイ」と言うと。
何故かムッとした荒木が反対側からくっ付いて来る。
「.....じゃあ行こうか」
「お前ら。大概にしろって。何をやってんだよ!!!!!」
「見て分かる通りだよ」
「それは確かに」
くっ付いているってか!?
特に音心はいい加減にしろ。
それでも可愛いから人気なのに!
思いながら俺は音心を苦笑いで見る。
「音心。勘違いされると厄介だぞ。男子に」
「.....?.....私は構わない」
「何でだよ。俺は.....それは可哀想.....」
「あはは。君がそう思うかも知れないけど私は.....全然構いませんよ?」
「.....!?」
何か知らないが。
音心が珍しく女子に見えた.....いや。
その言い方は失礼かもしれないが.....その。
音心がかなり可愛く見えた。
「.....基介」
「.....な、何だ。あら.....じゃなくて佐藤」
「.....私の前でデレデレとはいい度胸」
「.....いや。デレデレしてないから.....」
全くどいつもこいつも面倒だ。
考えながら俺は歩き出す。
すると音心が荒木に向いた。
それから「佐藤さんは何処から来たの?転校して来たの?」と聞く。
荒木は悩んでから「アメリカ」と答えた。
「.....オイ。嘘ばかり吐くんじゃない」
「アメリカ.....じゃあスウェーデン」
「適当に言うなっての!!!!!」
「???」
「スウェーデン???」という感じで聞いてくる音心。
俺は「コイツ嘘吐きだから」とため息混じりに答えてみる。
すると荒木は「まあ正確には孤児院出身」と答えた。
え?
「.....お前.....?」
「私は親に預けられた。児童養護施設で育った」
「.....!」
衝撃的な答えだった。
俺は目を丸くしながら荒木を見る。
すると音心が「.....そうなんだ」と複雑な顔をした。
そうか。
確か音心も.....両親を探していたな。
「佐藤さん」
「.....何?」
「私は孤児院前の捨て子で引き取られて里親に育てられたの」
「.....!」
「.....だからそういう事だから仲良くしてやってくれ」
「.....そんな同じ様な境遇の人は初めて」
そんな事を言いながら荒木は目線を一旦ずらしてから手を差し伸ばす。
それから握手を求めた。
すると音心はそれ以上の対応を取った。
何をしたかって?
荒木を抱き締めたのだ。
「.....仲良くしてね。宜しく。貴方とは仲良くなれそう」
「.....よ、宜しく」
そんな感じで話しあう2人。
そしてニコニコしあった。
俺はその姿を見ながら笑みを浮かべた。
それから暫く2人の行動を見ていた。
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