第11話 高校

☆(犬養智子?)サイド☆


ううううむ.....。

隣の子は誰だろう。

気になって仕方が無い。

私は考えながらサングラスとかつらを被ってから変装して矢口さんを追う。

矢口さんは話に熱中して気が付いてない。

これ幸いだ。


「.....」


私はしっかり後をつけながら追うと「それで?君は友人としてはどう思うよ?」と横の子が言った。

そんな言葉に私は「!」と思いながら足を止める。


そうか友人なのか。

何だかホッとした.....けど。

一体なんでこんな事をしているのか私は。

そうしていると目の前に私をガン見する顔があった。


「きゃっ!?」

「ふむ。誰?君?」

「わ、私は矢口さんの隣人です。あ、貴方は.....矢口さんの友人の.....」

「私は小池音心だよ!宜しく!貴方は?」

「.....私は.....犬養です」


「犬養さん?宜しく!」と笑顔になって私の手を握ってくる小池さん。

するとこっちに矢口さんがやって来た。

「何をしているんだ?」と言う感じでだ。

私は「えっと.....色々ありまして」とすっとぼけた。

そうしていると小池さんがまた覗き込んで来た。


「犬養さんは何処の高校生?」

「.....私?.....私は通って無いですよ。高校に」

「そうなの?それってつまらなくない?」

「私は全然平気ですよ」

「.....ふーん?でも私は楽しくないなぁ。そんなのクラスの人達と関われないし」


そう言いながら私を見る小池さん。

不思議な子だ。

無邪気な点が.....ゆうちゃんに似ている気がする。

そうしていると「そうだ!貴方も高校に通ったら良いんじゃないかな?」と無邪気そうにニコッとする小池さん。

私は驚愕する。


「コラ。音心。彼女も忙しいんだから」

「えー。でも楽しいじゃん。いっぱいのクラスメイトって」

「.....まあ確かにな」


その言葉に私はモジモジしながら「や、矢口さんも嬉しいですか?」と見上げる。

すると矢口さんは赤面した。

それから「ま、まあな」と返事をする。

私は考え込む。


「.....じゃあ考えます」

「そ、そうか。それはうん。まあ.....良いんじゃないか」


そんな感じで居ると小池さんが何だか複雑な顔をしていた。

私は「?」を浮かべて「小池さん?」と聞く。

すると小池さんは顔を上げて反応をした。

「あ、な、何?」という感じでだ。


「どうしたんですか?」

「.....あ、な、何でもないよ.....うん」

「.....!」


この時。

私は自覚した。

一体何を自覚したかといえば小池さんの気持ちだ。

頬を少しだけ朱に染めて潤んだ目で見ている小池さんは.....恋をしている。

それも矢口さんにだ。

一瞬で悟れた気がした。


「.....」

「.....?.....犬養さん?」

「.....な、何でもないよ。さて。そろそろ帰ろうかな」

「そうだな。高校に遅れる」

「え?あ。本当だ!」


そして私に挨拶をして駆け出して行く2人。

私は胸の中でハラハラが収まらなかった。

そうか.....彼女は恋をしているのか。

私は何もしてないなぁ、と。

そう思いながら踵を返して私は愕然とした。


「.....」

「.....何をしているの?」


何故か高校の制服を着ているゆうちゃんが居た。

それも丁度.....矢口さんの高校の制服。

何を.....している!?

一体何故こんな場所に!?

それに何でその制服を!?!?!


「ゆうちゃん!?どういう事なの!?」

「私は一足先に高校に通う事にした」

「.....!」

「.....大丈夫。私は彼を監視する為に居るのだから」

「.....そうなんだね.....」


「そうだね」と返事をするゆうちゃん。

それから私に笑みを浮かべてから「じゃあ行って来ます」と挨拶をした。

そしてそのまま去って行くゆうちゃん。

私は更にハラハラした。

どうしたら良いのだろうかこの気持ちは?


「.....まさかね。そんな気持ちじゃないもん」


私はアイドル。

だからそんな気持ちがある訳が無いのだ。

だけどどうしても.....ハラハラが収まらない。

どうしたら良いのだ。

私は.....矢口さんが取られてしまう事にハラハラ.....って!違うし!


「.....うーん」


私は何でこんな気持ちになってしまうのだろうか。

寂しい感じの胸がきゅっと締め付けられる感じの感情。

私は顔を上げる。

それから背後を見る。

だがその場所には静寂しかない。


「.....私も行った方が良いのかな。高校に」


そんな事を呟きながら私は背後を胸に手を添えて見る。

それから少しだけ寂しい気持ちで自室に帰る。

すると.....自室のドアの前にマネージャーが居た。

グラマナスな感じのはちきれんばかりの大きい胸とヒールとスーツと書類。


「おやおや?悩みの顔だねぇ」

「.....マネージャー。何をしているんですか」

「この場所に来る。それはつまり君に用事があって来たに決まっているだろぅ?」

「.....!」


私は身が引き締まる思いで.....マネージャーを見る。

汗が噴き出た。

それから唇を噛んでからマネージャーを見る。

何を言われるのだろう。

そう考えながらだ。

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