恋という名の?

第9話 痴漢から救った者

☆(荒木夕凪)サイド☆


マネージャーからそしてきーちゃんからまっちゃんの家に行くのを止められた。

しかし私はどうしても行ってみたくなりこの家に来たが。

何も問題が無い様な気がする。

きーちゃんは余計な配慮すぎるのではないだろうか?

少なくとも私はそう思えた。


「.....お腹すいた」

「もー。さっき食べたばかりでしょ!」

「母親みたいだなお前」

「矢口さんまで.....」


私がお腹がすいたと言うと甘やかしてくれた。

確かにまっちゃんは今までろくな人に当たった事はない。

そして私もだが.....複雑な過去が.....というか。

きーちゃんも過去は複雑だ。

だけど私は基介に賭けたいと思う。


「基介」

「.....お、おう。図々しい感じだな」

「む?図々しいかな」

「いや。別に構わないが。.....何だ?」

「まっちゃんの人探しに手伝ってくれない?」

「.....人探し?」


「そう。まっちゃんは何故この場所に来たかぐらい知ってない?」と私が尋ねると基介は「いやまあ少しくらいは」と答えた。

私はその姿を見ながら「ふむ」と言う。


「待って。ゆうちゃん。.....それは.....」

「どうして?何か問題があるの?」

「......無いけど。.....だけど私だけで大丈夫だよ。何だかみんなに迷惑だろうし」

「基介は大丈夫。ね?」

「.....いや。.....確かにそうだけど」


私はまっちゃんを見る。

まっちゃんは「まあそうだね。じゃあお願いしようかな」と言いながら基介を見ていた。

その姿に「私も協力する」と頷きながら納得する。

まっちゃんと基介が私を見る。


「だけどお前も忙しいんじゃ?」

「私は確かに忙しい。でもそれでもまっちゃんの決意を無駄にするわけにはいかない」

「ゆうちゃん。ありがとう」

「私は何もしてない。.....お礼はお菓子で良い」

「それで良いのか.....」


基介は私を苦笑して見てくる。

私は鼻息を荒くして「うむ」と返事をする。

それから「そうなると早速だけど。.....まっちゃんは心当たりは有るの」と聞く。

するとまっちゃんは「無い。彼はフードを被っていたから。深くね」と答える。


「あ。でも1つだけ心当たりがある」

「.....?.....それはどんな?」

「彼は.....傷跡があった。確か」

「え?」


その言葉に反応したのは.....何故か基介だった。

私は「?」を浮かべながら基介を見る。

そして考え込む基介。

一発でピーンと来た気がした。


「ちょっと席を外す。.....基介と一緒に」

「え?何で俺まで!?」

「良いから。ちょっと外に出よう」


それから私はまっちゃんに許可を貰ってからそのまま外に出る。

マンションの廊下の付き辺りまで来てから私は基介を見る。

そして「基介。.....貴方はまっちゃんを救ったりした?」と聞く。

すると基介は「.....」と考える仕草をする。


「答えて。誰にも言わない」

「.....正直を言うと救っているかもしれないけど.....あの日出会った彼女はあんな感じじゃ無かったぞ」

「基介。.....まっちゃんの趣味を知ってる?」

「.....知らないな.....何だ?」

「まっちゃんの趣味はコスプレ。髪の毛も染める」

「.....!!!!!」


絶句して真っ赤になる基介。

それから「私は服装を知っている。当日の。.....それでビンゴなら貴方だね」と笑みを浮かべる。

そうか。

だからまっちゃんは彼に惹かれたのか。


「.....誰にも言わない。.....私と貴方だけの秘密」

「.....そうだな。.....正直.....そうだな」

「.....貴方は本当に良い人だね。基介」

「俺はそんな人間じゃない。あの日.....彼女は困っていただけだ」


「何故まっちゃんを救ったの」と聞いてみる。

すると基介は「たまたまだ。.....だけどもう駅員とか警察に申告するのも面倒だったから逃げた」と答えた。

私は笑みを浮かべて「そうなんだ」と嬉しく答える。

基介は恥じらっていた。


「ありえない」

「.....これは運命だね」

「絶対に言わないでくれ。彼女は.....困ると思う」

「それはどうかな。.....貴方から見てまっちゃんは困っているかな」

「困ってなさそうだ。だけど.....!」


基介は心臓に手を添える様な感じを見せる。

それから落ち着いた様に自嘲した。

そして私に真剣な顔を向けた。

「俺の行為は彼女にとっては.....小さな事だと思うから」と答えた。

私はその顔を見てから基介の頬に手を添える。


「.....待って。基介。落ち着いて」

「.....」

「私は貴方のやった事は大いなる勲章ものだと思っている。まっちゃんは.....貴方を死ぬまで探すと思う。だけどこのタイミングは良くないってのは何となく分かる。だからもうちょっと待ってから」

「.....だな」


そして私は基介の手を握ってから「じゃあ戻ろう」と微笑む。

それから私達は基介の部屋に戻って来た。

するとスマホを弄っているまっちゃんがスマホを置く。

「何の話をしていたの?」と聞いてきたので私は「バレンタインチョコの話」と適当に取り繕った。

まあバレンタインは相当先だけどだ。

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