第8話 天使の美声
☆(矢口基介)サイド☆
何だろうか.....。
本当に何なのだろうかこの感情は。
無茶苦茶に恥ずかしく。
そして.....いや。ってかまるでこれでは.....。
「.....」
俺は台所で作業をする真紀を見る。
真紀は鼻歌を交えながら何かを作っている。
俺はその姿を見ながらかなり恥ずかしくなる。
何故握ったのだ手を。
「.....真紀」
「はい。矢口さん」
「.....何でお前は俺の手を握ったんだ」
「.....!.....それは.....」
「教えてくれるか」
「嫌です。恥ずかしいです」
真紀は笑顔で断る。
それからまた元の作業に戻る。
だが耳が赤くなっているのに気が付いた。
やはり普通じゃない。
「あんな事は外ではするなよ。.....鬼門に殺される」
「.....そうですね。確かにその通りですね。あはは」
「.....」
全くコイツは。
思いながら居るとインターフォンが鳴った。
俺はゾッとしながら「まさか!?」と思いながら(鬼門って言ったから鬼門が?)と思いインターフォンを覗くとそこに長髪の少女が居た。
「え?」
「.....あ。あっちゃんだ」
「あっちゃん.....ってまさか!?」
「そうですね。トゥインクルスターの子ですね」
「.....何でこの場所を知っている?」
「.....正直分かりません。.....だけど悪い子じゃ無いですよ」
そう言いながら直ぐにドアを開けに向かった真紀。
それから俺は慌てて向かうとドアが開いてからそこからオドオドした少女が入って来ながら俺を見上げてくる。
荒木夕凪.....か。
「は、初めまして」
「.....ああ」
「私の事はご存じですよね?」
「トゥインクルスターのメンバーだな」
「そ、そうです」
見た感じ.....栗毛色の前髪が長い様な目元が隠れた髪形。
それから美少女ぶりを思わせる様な目鼻立ち。
目が大きいんだと思うけど.....何だか髪の毛に覆われていて良く分からない。
だけど愛らしい感じの表現をしてくる。
うん?こんな子だっけ?
「.....」
「.....あ。ゴメン。ガン見しちゃって」
「い、いえ。.....真紀は何故この場所に居るのかなってお聞きしたくて.....」
「あ。それはね。魅力があるから」
「真紀!!!!?」
俺は赤面しながら慌てる。
荒木は目をパチクリした様な感じを見せてから「そ、そうなんだ」と返事をした。
そして「そ、それは恋?」と言ってくるあら.....き。
おいぃ!?
「待って!?こ、恋な訳ないでしょ!?」
「え?そう思った.....」
「違うよ!?私は矢口さんは好きだけどそういう恋じゃ無いから!?」
「でも好きなんだ.....」
「待って!誤解だよ!?」
「た、確かに好きではあるよ!でも違うから!そういう間柄じゃ無いの!」と目を回して説得する真紀。
それから俺を見てくる。
いや待て!?何で俺を見てくるんだよ?!
俺は赤くなりながら真紀を見る。
「ふーん?」
「えっと。落ち着いて聞け。荒木。.....俺は真紀は好きだよ。隣人としてな。だけどそういう感情は無いから」
「フーン.....?」
「怪しい」という感じで俺を見てくる荒木。
俺はその様子に「何とかしてくれ」と真紀を見る。
すると真紀は混乱している様だ。
「取り合えず矢口さんの家に入る!?」と笑顔になる。
おいぃ!!!!?
「色々と違う!何でだよ!」
「.....入る」
「荒木!?」
そして俺の家に究極の美少女が2名入る事になった。
しかしその中でも良かったと思うのは。
鬼門と違って少しだけでも話が通じそうな女の子だって事だ。
俺はその姿を見ながら少しだけホッとしながらリビングに案内する。
☆
「お菓子がいっぱいわーい」
「存分に食べて良いよ」
「.....子供か?」
結論から言ってあまり心配は要らない様に思える。
鬼門と違い荒木は能天気だった。
ほわほわしているハムスターみたいな。
そんな存在である。
「お菓子わーい」
「いつもこんな感じなのか?真紀」
「そうだね」
「ふーむ?」
いつも見る姿とはえらい違いがある。
思いながら前髪が長い荒木を見ていると荒木が「何?」と聞いてきた。
俺は「お前髪長いけど.....いつもそんな感じだっけ?」と言ってみる。
すると荒木は胸を張った。
「大丈夫。胸は無いけど.....これでもあいどる」
「自らで胸が無いを言うなよ」
「あはは」
どうにも信じがたい。
するとそんな俺の様子に真紀が「一曲だけ歌ったら?」と荒木を促す。
荒木は「え?歌?」という感じで見てくる。
それは確かにな。
そうすれば偽物か本物か区別がつく。
「うーん。仕方が無いね」
と言って前髪をオールバックの様に弄ったりしながら.....髪形を纏める。
ピリッとした静電気でも走る様な感覚に襲われた。
そして何時もの.....猛烈に可愛い荒木夕凪が出現した。
「.....うーん。でもオフでこれは恥ずかしいね」
「.....」
「どう?本物でしょ?」
「まさか.....そんなに可愛いなんて」
目をパチクリして見合わせる荒木と真紀。
すると机の下から真紀に足を蹴られた。
何故か分からず「へあ?!」と声を発する。
真紀は「ふん」と言いながら嫉妬の様に横を見た。
「どうしたの?まっちゃん?基介さん?」
「何でもないよ。続けて続けて」
「そ、そうだな」
そして「?」を浮かべる荒木を見て返事をする俺達。
そのまま咳払いをして歌い始めた。
アメージ○ググレースを.....ってえぇ!!!!?
こんなに美声!?
信じられんのだが!
「音大出身なの。彼女は」
「.....それでか!」
アメ〇ジンググレースとか並みたいていの奴では歌えない。
これは確かに荒木の声だ。
心打たれてしまった。
何故か真紀が嫉妬している。
訳が分からない中だったが.....これは凄い。
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