第6話 また出会う時

☆(鬼門楓)サイド☆


私はまっちゃんが心配だ。

彼女は優しい部分がありしかも直ぐにホイホイ人に慣れやすい。

そんな事がありマズイと思いながらまっちゃんの部屋に向かう。

案の定、まっちゃんは誰か分からない奴。

男と居た。


「かえちゃん。彼は大丈夫だから。絶対」

「私はそうは思えない。まっちゃん。今までの事を思い出してよ。私は貴方が優しすぎる部分も心配だから」

「.....かえちゃん.....」


矢口とかいう奴の家の玄関先でそう話す私達。

それから私は矢口を見る。

矢口は複雑な顔をしながら私達を見る。

私は「もう大丈夫だから。この子に関わらないで」と言葉を発する。


「かえちゃんそんな言い方は.....」

「駄目。貴方のご両親もそうだけど厳しくする。私は貴方から全てを奪う輩を許さない」

「.....」


私は威嚇しながら矢口を見る。

矢口は私を見ながら「分かった。もう近づかない。真紀には」と答える。

「ただしその代わりに約束してくれ」と追加で私を見てきた。

とても真剣な顔をする。

私は「何?」と浮かべた。


「俺は真紀が心配だ。それだけは譲れない。だからお前が真紀を蔑ろにするなら許さない」

「.....そんな事しない。私はまっちゃんをとても大切だって思ってる。だからアンタなんかに言われる筋合いはない」

「そうか。なら良い。俺はお前に真紀を任せる」


それから踵を返して行く矢口。

すると慌てた感じでまっちゃんが「ま、待って!」と悲しげな顔をする。

その様子に「矢口がそう言ってるから」と返事をした。


「行こう」と言葉を発する。

そしてそのままドアが閉まった。

まっちゃんは私を見てくる。

だが直ぐに諦めた様に目線を矢口の玄関から外した。


「これが本来だとしても.....」


そんな言葉を発しながら悲しげに天井を見上げてから前に歩き出した。

全ての事が中途半端に止まっている。

私はかえちゃんを見て盛大に溜息を吐いてからそのまま自室に帰る。


☆(矢口基介)サイド☆


何か分からないけどもかなり寂しい感じだ。

まあ何というか原因は分かっているが。

原因はアイツが。


つまり真紀が急に居なくなったからだろう。

俺のせいだ。

真紀に関わらなければ良かったのだ。


「.....だけどまぁ」


そんな言葉を放ちながら後悔する。

それから「誰かと居るのがこんなに心地良いものだったなんてな」と良いながら片づけを始める。


するとインターフォンが鳴った。

俺は「今日はインターフォンがよく鳴る日だな」と呟きながらドアを開けるとそこに真紀が立っていた。

驚愕した。


「真紀?どうした.....何故此処に居る」

「うん。.....帰りました。かえちゃんは」

「.....そうか。でももう俺とは関わらない方が」

「私は思いました。.....貴方は本当に悪い人なんだろうか?って」

「.....それはどういう意味だ」


「貴方は絵を描いていた。優しい人です。だからかえちゃんの言う様な感じじゃ無いって思います」と俺を見てくる。

「それはどうかな」と答えながら俺は真紀を見る。

そして「俺はお前の思っている程良い人じゃ無いかもだぞ」と真剣な顔をする。


「.....そうですね。実際はそうかもしれません。.....でも私、貴方からは嫌な感じがしません」

「.....」

「だから今回はかえちゃんの言う事には反発します」

「.....君は本当に不思議な人だな」


正直あの日。

俺が救った女子に似ている。

だけどあの時は髪の色も違ったし.....他人だと思う。

だからこそ。

思いながら俺は真紀を見る。


「真紀。俺としてはお前は俺なんかに関わっちゃ駄目だと思う。.....やっぱりいちファンとアイドル.....」


そこまで言った時。

いきなり真紀が俺に寄り添って来た。

俺は「は、は!?」という感じで大慌てになる。

そして真紀は「そんな事言わないで下さい」と俺を見てくる。


「私は貴方はとっても不思議な人って思っています。やっと見つけた感じの優しい知り合いなんです」

「.....正直俺なんかにそう言ってきても仕方が.....」

「.....いや。私はこの行動は意味あるものって思います」


言いながら俺から離れつつ。

真紀は.....俺をジッと見てきた。

それから笑みを浮かべる。

俺は恥ずかしくなって目を逸らした。


「.....私は貴方と知り合いになって良かったって思います」

「.....」


そんな事を初めて言われた気がする。

俺は赤くなったまま真紀を見る。

真紀の頭を撫でたくなった。

危ないな。

何だこの感情は.....?


「どうしたんですか?」

「いや.....何でもない」

「.....?」


俺は滅茶苦茶恥ずかしくなりながら口を手で覆う。

それから俺は「???」を浮かべながら考え込んだ。

そして俺は真紀を見る。

真紀も「?」を浮かべて俺を見ていた。

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