怪物

第5話「解放」

―父を締め、私は自由になった。何にも縛られる必要はない。

今、私の人生は始まったのだ。


私はまず、大声で叫んだ。

「自由だ~~」

すっきりした。


そして、目をつぶって、自由を感じた。

罪悪感もない。寂しさもない。苦しみもない。未来も・・・


その時、私は考えてしまったのだ。

父がいない中で、どう生きていくのかを。


自由は、いいことだけではない。


―まず問題になるのは、食料だ。いつもは、父が動物を仕留めてきて、それを私がさばき、調理していた。動物さえあれば、後は何でもできる。

井戸だってある。外に行けば、小川もあるだろう。問題は、動物だけだ。

―ここは山奥で、都とも離れている。都につながる道もないし、そもそも、都がどこにあるのかもわからない。

自由であり、孤独だった。


「母がいれば・・・。」


つい、そう考えてしまう。


―そもそも私は、ずっと、部屋か家にしかいなかったため、周りにどのようなものがあるのかすら知らなかった。

―近くに人は住んでいるのだろうか。動物はいるのだろうか。疑問に満ち溢れる。

近くには、けもの道しかない。


「とりあえず、父を捨てに行くついでに、少し探索してみよう。」


そう思い、私は父に近づいた。

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