第4話「反抗前日」
―私が立てた計画には一つ、問題があった。
それは、父をなぎ倒した後、どうやって父を締めるかだ。私の部屋には、刃物の代わりになるようなものはなく、かといって、首を締めようとしたら、父の腕が自由になってしまい、確実に負ける。
「何か、父を即殺できるものはないか。」
―そう思って、色々と考えていた。
そしてその夜、余りにも奇跡的な偶然が起こった。
私は、いつものように合気道の練習をしていると、「ブーン」という、虫が飛んでいるような音がすることに気づいた。私はハチか何かだと思い、慎重にあたりを見渡した。すると、一匹の大きな虫を見つけた。虫がどこかに留まるのを待ち、虫の種類を特定しようとした。
見てみると、それは、とても立派な顎をもった、「クワガタ」だった。
―そしてその数秒後、私はクワガタの片方の顎を取り、それで何とか父を締めることができないかと考えた。
私はクワガタの右の顎を、外側に向かってひねり取った。意外にもあっさりと取れた。
私はまだ、合気道の技を完全に身に着けたわけではないが、このクワガタのおかげで、決心がついた。
「明日、父に家まで連れていかれる間に、やる。」
その日は、ぐっすりと眠れた。
明日には、私は自由になっているのだ。
私はその日、父の死体を散々踏みつける夢を見た。罪悪感なんて、みじんもない。
目が覚めると、直ぐにクワガタの顎を服の隙間に挟んだ。
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