第2話 野良犬のワルツ2
翌日の午後、雪子は家で一人勉強していた。正太郎は医師になる為の勉強が忙しいので、さすがに毎日は来ない。今日は古典文学について勉強している。
雪子が勉強していると、雄介が窓から顔を出した。
「ねえ、雪ねえちゃん」
「何?」
「うち以外で、蕪とか大根をつくってる畑ってどこにあるか知ってる?」
何か用事があるのだろうか。
「それなら、ちょっと歩くけど、沢田さんの所かな……」
雪子は、沢田さんの畑の場所を教えてから、どうしたのか聞いた。
「うん、ちょっとね……」
雄介は、誤魔化すように笑った。
その翌朝、康太が慌てた様子で雪子の家に来た。
「雪子、雄介を見なかったか?」
「雄介?昨日の午後うちに来たけど、どうしたの?」
「今朝から、姿が見当たらないらしい」
「ええ!?」
康太の話によると、雄介の両親が今朝目を覚ました時、布団に雄介の姿が無かったらしい。今、両親は必死に探し回っている。
「何か心当たりは無いか?」
雪子は、昨日雄介に沢田さんの畑の場所を教えた事を、康太に伝えた。
「……俺、行ってみる」
「私も行く」
「いや、お前は学校があるだろう」
「……じゃあ、学校が終わったら私も探す。その前に見つかればいいけど……」
雪子は、不安で胸がいっぱいになった。
授業が終わると、雪子は急いで帰宅した。鞄を置いたら、雄介の捜索がどうなっているか確かめに行かなくては。
鞄を置いて家を出ようとした所で、康太が玄関に現れた。
「康太、雄介は?」
「……まだ見つかってない」
「沢田さんの所は?」
「沢田さんに聞いたけど、雄介、来てないって・・・。雄介の親も、沢田さんの家に行くとかは聞いてないって……」
二人は、その後雄介を探し回ったが、結局見つからず、夕方になった。
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