第43話 取引成立
ぎゅっと目を瞑り、マレニアは死を覚悟する。
そして、マリケスは処遇を言い渡した…
「俺たちについてこい。そして、この国を変える手伝いをしろ。」
「はいはい。処刑ですね…って、今何て言った?」
思わず聞き返した。
「俺たちについてこいと言ったんだ。お前の魔道具を作る能力は、国の発展の要となる。だから協力しろ。断っら処刑になるが…」
「そうじゃねぇ!なぜそんな甘い罰で済ませる?訳がわからないんだよ!」
軽い罰で済ませる訳がない…そう思っていたため、とても混乱している。
しかし、マリケスはこの処遇が一番最適だと思っている。
それは全員同じだった。
「マレニア、お前さんの腕は確かだ。ここで手放す方が罪にならない。わかるか?」
アルバートは笑顔で話しかける。
「アルバートさん、あんたも甘すぎる!あたしが変な魔道具を作るとは思わないのか!?」
「その時は研究仲間とかに見張らせばいいさ。俺がそんな甘ったるい考えをすると思うなよ?俺は腐っても商人。メリットがないと何もしない。」
「勝手に研究仲間を入れられたことは不愉快だが…いい案だ。それも採用しよう。」
マリケスは色々なことを考えている素振りをしながら、話し続ける。
「お前の兄、そしてスラムの連中をどうにかして救ってみせる。だが、そのためにはお前の力が必要なんだ。結果の前に働くことになるが、協力しろ。」
「どうです?お互いのためにも、ここは協力するべきだと思いますよ!マレニアさん!」
「俺もそう思うぞ。アルバートの言う通り、お前の腕には確かなものがある。それを信じるよ。」
「私もあのバケツは革命だと思うネ!全国の宿屋に売り付ければ、いい値になるヨ!」
マレニアは大好きな魔道具を作れて、給料もいただける。
大事な兄も、家族同然のスラムの人たちも助けられる。
これほどいい条件はないだろう。
その代わり、国のお抱えとして忙しい日々を迎えることになるが。
「…暗殺しようとした奴を助けるなんて正気じゃないよ。あんたら…」
「この取引、俺の意見で成立。ということでいいな?」
「ああ…よろしく頼むよ。国王様。」
二人は、取引成立の握手を交わした。
マレニアも作戦に加わったので、説明することに。
しかし、さすが商人。察しがよかった。
「そいで、あんたらの作戦は?ついてこいってことは、他にすることがあるんだろ。国のために魔道具作る以外に。」
「察しがよくて助かるよ。俺たちの作戦は、''どれだけ国民の心を揺さぶれるか''にかかっている。マレニアにも、それに協力してもらおうと思っているんだが…マリケス、それでいいか?」
「ああ、もともとマレニアには声をかけるつもりだったしな。三人の推薦ってことで…」
三人は頷く。
そう、マレニアと会って話した後…三人は、作戦にマレニアを追加することを考えていたのだ。
「マレニアの知識と腕は、必ず国の発展に役に立つ。それを見越して王都で探し、仲間に勧誘しよう。ダメ元にはなるが…」
「心強い仲間が増えるかもしれませんね!マリケス、どう思います?」
「貴様らが見込んだ相手だ。少しは信用しよう。不本意ではあるが…」
マリケスも認めてくれ、マレニアを加えることはもともと作戦の内だった。
しかし…ぽかんとしていたのは何だったのだろうか?演技とは思えないが…
「マリケス…なぜマレニアさんが暗殺者だとわかった時に、ぽかんとしていたんですか?」
「………俺様としたことが、寝惚けていた様だな!マレニアのことは最初からわかっていたさ。演技…いや、ハッタリだよ!」
もちろん、誰も信じない。本人の言う通り、寝惚けていたのだろう。
マリケスならあり得る…かもしれない。
「よし、マレニアも仲間に加わったことだし!出発しますかい?」
「おっと、その前に…あたしを雇った奴らをなんとかしないといけないよ。あんたら…特にレド、サヤ、ジュディスを狙ってるはずだ。」
「基盤となる私たちがやられたら、どうしようもできないネ。そいつらの処理を最優先にするのがいいと思うヨ。」
意見は合致した。確認しに来た暗殺者を返り討ちにすること。
一体、どうやって返り討ちにするのだろうか?
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