第22話 世界樹の助言

「これで作戦は完璧ネ!あとは魔獣を待つノミ!」


「ジュディス、先走るな。村のエルフたちにも、準備や避難がある。全員が完了してから、作戦の陣形を取ろう。」


「そうですね!レド、このあとキツいでしょうに…本当にいいんですか?」


四人が立てた作戦は、レドにとって辛いものらしい。

それを聞いたレドは身震いする。


「あまり言わないでくれ…考えるだけでゾッとする…」


「レド、弱虫ネ。」


「とにかく…作戦は決まったな!私は村の女、子どもたちを避難させてくる。他の者に作戦を伝えてくれ。それが貴公らの仕事だ!」


隊長も、少しは三人を認めたらしい。

任せてくれるということは、信頼に値するということだ。


「わかった。俺たちは残った者に作戦を伝える。隊長は避難を頼んだ。」


四人はそれぞれに分かれて作戦の下準備を始めた。


「あ、ジュディスさんは私と一緒に来てください!何か良からぬこと言いそうなので…」


「姫様、私を信じてネ…でも、それなら姫様を守るヨ!」


「ありがとうございます。作戦を伝えに行きましょう!」


闘う者たちに作戦を伝え、世界樹の近く…森の奥深くに、約20人ほどで向かう。

エルフたちは得意の弓を。レドはラグナロクで賜った短剣を。サヤは父から譲り受けた刀を。ジュディスは魔法の準備をしながら。


しばらく歩くと…


「止まってくれ。世界樹の精霊に話をする。作戦の内容と、何かあったときの防御魔法のことだ。」


「了解。」


「スゥー…世界樹の精霊殿!我々は魔獣討伐、及び撃退のためにここへ来た!入ることを許してくれ!」


隊長がそう言うと…目の前に巨大な神木のようなものが現れた。

世界樹は精霊によって守られており、心の清い者にだけ姿を見せる。


「これが…世界樹…?かなり…いや、村に届くぐらい大きくないか?」


「大いなる世界樹様だからな!我らの誇り…よし、魔獣の出現場所は世界樹の向こう側だ。行くぞ!」


「はい!行きましょう!」



……………………………

魔王たちの待つ、魔王城では四天王の一人であるジュディスの話をしていた。


「あいつ自由だからな~。それに…ポンコツだし。使えるのは腕だけってね~。」


「そんなこと言うでない。彼女も頑張っておるのだ…しかし、どこにおるのかのぅ…?」


「あんなやつの捜索より、魔王城のスイーツ巡り事件について話そうじゃないか!」


スイーツ事件…?意外と平和なようだ。

ジュディスは、他の四天王から少々下に見られている。

本人は気づいていないようだが…

…………………………


「クシュンッ!…誰かが私の噂をしてるネ。きっと心配してくれてるノネ。」


「変なこと言ってないで急ぐぞ…隊長!まだまだつかないのか?」


「いや、もうすぐだ!前回の出現場所は近い!警戒せよ!」


皆が気を引き締める。いつ魔獣が出現してもおかしくない…

緊張の糸が張り詰める。


ドオォンッ…


前方から大きな足音?のようなものが聞こえてきた。

全員が警戒体制に入る。


「魔獣の出現か!?サヤ、レド、ジュディス、作戦は大丈夫だな?」


三人は頷く。

もう準備万全…というその時…


(転生者レド…私がわかりますか…?)


レドの頭の中に声が響く。


「誰だ!?」


「レド、どうしたのですか?誰も話していませんよ。」


「いや、頭の中に声が…流れ込んでくる…」


謎の声は話し続ける。


(私は世界樹の精霊…伝えたいことがあって、あなたに語りかけています。)


「わかった…続けてくれ。」


他の者に待ってのサインを出して、頭の中の声に話しかける。


(あなたたちに警告をしに来ました…フレイザードは強い…私の防御魔法で、全ての攻撃を防ぐことはできません。そして、フレイザードは狡猾。何を言われても揺るがない心があると、誓えますか?)


「もちろんだ。皆も同じ…共に闘う仲間は、決して裏切らない。」


(…よかった。話はそれだけです…幸運を願います…)


そう言い残し、世界樹の精霊の声は消えていった…


「世界樹の精霊と会話をしていたんだ。フレイザードは狡猾だ。そそのかされても揺るがない心を持て。と警告していったぞ。」


世界樹の精霊と話していたということに、皆は驚く。


「世界樹の精霊と話したのか!?それはとんでもないことだぞ…」


「レド、すごいです!世界樹の精霊さんにも認められたんですね!」


ドオォォンッ…


再び、大きな足音がする。

魔獣の出現は確実のようだ…


「皆、前に進むぞ!そしてニンゲン…信じているからな…!」


「…ああ。任せてくれ!」


一丸となって獣の王、フレイザードの討伐に向かったレドたち…

フレイザードを止めることはできるのか…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る