第19話 敵襲

「世界樹を守るエルフは警戒心が強いです。あまりフランクな人たちではない、ということは承知しておいてください。」


「そんなの基本ネ。姫様ならもっと詳しい情報を知ってるハズヨ。それより、この縄外してくれナイカ?」


「魔法を使われたら困るから無理だ。まだお前を完全に信用したわけじゃない。」


するとジュディスは頬を膨らませ…


「私に二言はナイネ!姫様を守るヨ!」


と言ってあまりにも騒ぐので、先頭を歩かせるという条件付きで、二人は縄を外した。


「ジュディスさんは魔王に支えている中で、どれくらいの位なんですか?」


「私は一番上ネ。四天王の一人ダヨ!」


誇らしげに言っているジュディスを横目に、二人はこんなやつが四天王で大丈夫なのかと心配になった。

四天王といったら魔王を支える中で、最も位の高い者だ。

そのうちの一人がこれではどうしようもない。


「本当ならすごいけどな。ある意味。」


「私は凄いノダ!…ちょっと待つネ。罠がアル。」


二人には何も見えていない。


「本当にあるんですか…?魔王の幹部しか持たないという能力が…」


「アルヨ。私の場合は魔眼ネ。全てを見抜く力を持つノダ!その者の職業、スキル、罠とかも見抜けルヨ!」


自分の能力をカミングアウトしてしまったジュディス…

どうやって逃げるとかは考えていないらしい。

サヤを守るということだけは信頼できそうだが。


「なら俺の職業も見抜けるのか?やってみてくれ。」


「お安い御用ネ…!……………?できないノカ!?そんなことありえナイ!」


転生者だからだろうか?レドの職業は解明できなかった。

ジュディスはレドが転生者であることを知らないため、混乱している。


「私の魔眼は絶対ネ…!何か仕組んだノカ?」


「何もしていないさ。ただ、俺は少々訳ありでな。できないのも無理はない。ありがとう。」


結果が不服なジュディスは、少し拗ねた様子で世界樹に向けて歩き出した。

そんなジュディスをサヤが励ます。


「本当に、レドって生い立ちが特殊なんです。魔眼で読み取れないのも普通かもしれませんね!」


「それもそうネ!こいつはスキルも変だし、仕方ナイ。」


あっさり飲み込むあたりにポンコツさが伺える。

そうこうしているうちに、二時間ほど歩いただろうか?

そろそろ着いてもいいはず。というその時…


ピシュンッ


足元に弓矢が刺さる。そう、敵襲である。


「我らの大いなる大地に近づくな!!汚らわしいニンゲンめ!」


エルフたちの存在に気づいたレドはとっさにスキルを使った…が…


「痛っっっ…!足が…」


レドの左足に矢が刺さっていた。あまりの痛みにレドは倒れる。

その拍子に、スキルも解除されてしまった。


「ニンゲン共…大人しくしな!動けば弓を射るぞ!」


サヤは打開策を考えながら手をあげ、降参の意を示す。


「クッ…私の魔法は下準備が必要ネ…姫様、申し訳ございマセン…」


「ジュディス、いいんですよ。今は従った方がいいですね…」


「すまん…俺のせいで…!」


三人はエルフに従い、村の牢獄に連れていかれた…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る