第17話 英雄
「うぅ…落ちる…って、ここどこだ…?」
ムクッと起き上がると…
「レド!目を覚ましましたか!」
「うむ…救世主殿、感謝するぞ。」
レドは少しの間気を失っていただけで、すぐに目を覚ました。
彼の高所恐怖症はかなり重度のようだ…
「サヤ、あのジャンプ力は一体…?」
「あれは身体能力強化のスキルですよ!強い敵が相手のときは、あのスキルを使って戦うんです。そうするとさっきみたいにジャンプできたり、筋力が上がったりするので…」
先ほどのことを思い出すだけでも、頭がくらくらしてしまう。
それよりドラゴンだ。抜いた杭のようなもののことを追及しなくては。
「ドラゴン殿、あの杭はなんだったんだ?誰かに刺されたのか?それとも自分で?」
「自分で刺す訳がなかろう。何者かの手によって刺されたのだ。おそらく、魔王の手先。我は街を守護するドラゴンだからな…そして、杭にかかっていた魔法は操りの類いだろう。まだ近くに手先がいるはずだ。」
二人は警戒する。いつ敵が自分たちを襲ってきてもおかしくない。
ドラゴンがいるとはいえ、魔王の手先はかなりの手練れだろう。
すると…
「おーい!お前ら、大丈夫か!?」
アルドたちがやって来た。
皆の様子を見るに、住民は無事だったのだろう。
「俺たちは大丈夫だ!それより…ドラゴンの怪我を見てやってくれないか?」
「わかりました~。ドラゴンさん、拝見いたしますね~。」
「我には怪我を癒す力が無い…感謝するぞ、救世主の友人殿。」
怪我を回復している間、アルドたちに魔王の手先が近くにいるかもしれないと伝え、周囲と住民の警戒に当たるよう頼んだ。
「そんなことがあったんか…ドラゴン君も気の毒やなぁ。バル、周辺をサーチしてくれへんか?」
「了解っと。…うーん…あんま近くにいる感じはしねぇぞ?今のところは安全かな。」
「バル、ありがとな。おい、お二人さん…あんたらはこの街の英雄だぜ!ギルドマスターの名において…本当に感謝する。お前たちが居なかったらこの街がどうなっていたか…ま、誰にもわかんねーがな。」
そこは普通に感謝してほしいと思う二人。
それでも自分たちを英雄と称してくれたことはとても嬉しく思っていた。
………………
3日後
………………
「おいおい、もう街を出ちまうのか?せっかく宴開こうと思ってたのによ。」
「いいんだ。俺たちは、たまたまその場に居合わせただけ。そう扱ってくれ。な?サヤ。」
「はい!それに…私たちを狙う魔王の手先がいるかもしれませんから…この街を危険に晒すことはできません!」
二人は早くも街を出ようとしていた。
あまりにも英雄扱いされるため、こそばゆいというのもあったが…
なにより、街の安全のためだ。いつ何時、命を狙われるかわからない。
「それじゃあ行くよ。また会う機会があったら、宴をやってくれ。」
「ありがとうございました~!もし、私たちのこと新聞で見たら思い出してくださいね~!」
「そもそも忘れねーよ!元気にやるんだな~!」
手を振って別れを告げたあと、二人は次の街へと向かった。
「サヤ、次の街はどこだ?」
「街…というか場所なんですけど…世界樹に行こうと思っています!近くにはエルフが暮らしていますし、もしかしたら仲間が増えるかもしれませんよ!」
「俺が行きたいって言ったからじゃないか。いいのか?」
満面の笑みで、サヤは頷く。
次の目的地が決まったが…二人は迫る影に気づいていなかった…
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