第11話 ギルドマスター

「今来てる依頼は…薬草採取と、ゴブリン退治…ってこれ終わってますね。レドが全部倒してくれましたから!」


「ってことは…魔石を持っていけばいいのか?」


「そうですね!持って行きましょう!」


すでに依頼は達成していた様だ。

魔石をカウンターに持っていき、依頼の達成を報告する。

すると先ほどの女性が対応してくれた。


「あら、もう依頼を達成されたんですか?」


「あ、この街に来る道中で出くわしたゴブリンを…チームメイトが倒してくれたんです。」


「助かりました!ここのところゴブリンによる農作物の被害が出ておりまして…ありがとうございました。依頼金は…百ドルです。」


お礼をして依頼金を受け取ってから、二人は薬草採取の依頼を受けた。




舞台はまた森の中…といっても、街から少し離れたところだが。


「どれが薬草だ?さっぱりわからん…」


「この紙に描かれているのが…薬草です。横にあるのは、間違える可能性が高い毒草。葉っぱの形が、ギザギザしてる方が毒草ですよ。」


「なるほど…探してみる。」


黙々と作業すること二時間…


「よし!30個採れた…レドはどう?」


「持ちきれない。助けてくれ。」


「今行きまー…って何ですかその量!?」


レドの横には、山盛りの薬草が置かれていた。


「採ってたら楽しくなっちゃって…こんなに採って大丈夫なのか?」


「うーん…大丈夫だとは思います。薬草って勝手に生えてくるんです。世界樹の神様のおかげって言われていますが…」


「世界樹…それがあるなら大丈夫なのか。不思議な植物だな…一度見てみたい。」


「生きてたら一回ぐらい見れますよ。おそらく。じゃあマジックポケットに入れましょうか。」


あまりピンと来ていないレドにマジックポケットを見せる。

普通に腰に下げている小物入れの様なものだが…


「これにはいーっぱい物が入るんです!見ててくださいね…」


そう言って、どんどん薬草をつめていく。


「そんな入れて大丈夫なのか?」


「千ドルしたやつだからかなり入りますよ!もっと入るかも。」


話しながら入れていると、全てすっぽり入ってしまった。


「本当に入った…すごい便利だな!これなら何時間でも作業できるぞ…」


「採りすぎです。そんなには駄目ですよ。さ、戻りましょう!」


二人は街に戻り、ギルドへと向かった。


「職員さん、薬草採取終わりました~!」


「は~い!承ります!薬草採取ですね…一本一ドルで買い取ります。」


「たくさんあるからな…かなりの値段になるかもしれない。」


マジックポケットをひっくり返して、薬草をカウンターの上に取り出す。


「…すごい量ですね…複数人で数えさせていただきます!その間はギルド内でおくつろぎください。」


「わかった。感謝するよ。」


「レド、明日やる依頼見てみませんか?」


「お、いいな。見てみよう。」


二人で依頼板の方へ行くと…


「おっと、待ちな?あんたら、新しいパーティ…暗月だろ。」


かなり強そうな人物に目をつけられてしまった。


「…そうですが、何か?」


「いや、ここに来た歓迎をしてやろうと思ってな?おい!野郎ども!」


「押忍!!」


二人は身構える。と…


パァンッ


クラッカーの音が鳴り響いた。


「「…え?」」


「ハッハッハ!驚いたか?新しいパーティができると毎回やるんだ。恒例行事…ってやつだな。」


「あ…ありがとう…すまない、身構えてしまった。」


「その姿勢は忘れない方がいいぜ!冒険者なるもの、いつ命を狙われてもおかしくねぇからな。」


二人で祝ってくれた皆にお辞儀をする。


「ところで…あなたは誰ですか?その感じだと、ここのお偉いさんとかでしょうか。」


「一発で当てるたぁ、いい観察眼だな。俺はここのギルドマスター、アルド。ランクアップの手続きとかは俺に任せとけ!」


超笑顔でガッツポーズをするアルド。


そこへ…


「暗月さん!鑑定終わりました…ってアルドさーん仕事やってくださいね?」


おそらく日頃から仕事をサボっているであろう言い方だ。

かなりの圧力を感じる。


「あ、ありがとうございます!ではアルドさん、仕事頑張ってくださいね。」


「ちくしょー!祝ってやった恩はどうした!」


「それと仕事は別だ。」


レドのド正論がアルドの心に突き刺さる。


「…はい…仕事やります…」


それを見て、ギルドの冒険者は大爆笑。


「遂に言う奴が現れやがったな!ハハハ!」


「ギルドマスター!仕事頑張ってくださいね~ww」


「うるせぇ!ランク降格させるぞ!」


そう言って、アルドはギルドの奥へ入って行った。

それを見届けた後、サヤたちは買い取り金額、二百ドルを受け取った。


「ありがとう。ところで、この辺でおすすめの宿ってあるか?」


「ここら辺だと…出てすぐの右手にある宿がおすすめですよ!目立つところにあるのでわかりやすいですし、価格もリーズナブルです。」


「ありがとうございます。そこに行ってみますね!」


二人は紹介してもらった宿へ向かった。

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