第三章・始まりの扉
「あの日──この惑星、セレスが彩(いろ)を取り戻したとされる三年前のあの日。わたしは、破壊力を手にしてしまったとお話ししましたよね? それで──誠に恥ずかしいお話なのですが、あの日わたしは、自らに新たに生まれたその破壊力で倒してしまった神殿の柱の下敷きになってしまったのです」
「え」
「何で」
「馬鹿か」
真剣なはずの話に思わず吹き出してしまった三人を制して、ネウマは話を続ける。
「ちょ、ちょっと、笑わないでください。命に関わることだったんですよ? 全く──それで、命を失いかけたわたしは、一つの魂に声をかけられました」
「魂?」
「そうです。わたしは、そういったものも見えますから──とても、綺麗な色をした魂でした。その魂は、わたしに『何か』を問いかけて、わたしは瞬時にまばたきだけで頷きました。そうしたら、その魂はゆっくりとわたしの中に入って──そうこうするうちに、わたしに覆い被さっていた神殿の柱は粉々になり、痛みも何もかもなくなってみるみるうちに力が蘇り、わたしは立って歩けるまでに回復してしまいました。魂の感覚は、ずっとわたしの心臓のあたりにあったのですが、それを見届けたかのように──」
「どうしたんだ、消えたのか?」
フィンが問うて、ネウマは首肯した。
「そうなんですわ。わたしの意識がはっきりした頃には、心臓にあった痛むようなあたたかさも、何もかもが消えていた──ただ、ごめんね、という穏やかな優しい響きの言葉だけが、心に残されたのです。助けていただいてごめんねも何もないのに、可笑しな話ですわよね。でもこれは、その後だんだん解るようになって──今、はっきりしましたわ。あの魂は、あの日からずっとわたしと共に生きていて──そして、何らかの使命を持っていたのです。あの魂にしてみれば、その遂行をわたしに手伝え、ということだったのでしょう。『命を助ける代わりに、あなたの人生の半分の時間をいただきますが、宜しいですか?』と、それがその魂の問いかけだったのですから」
「その魂? とやらが、あいつ──エスタシオンなのか?」
不思議そうでもあり、真面目でもある表情で訊いたフィンに、ネウマはゆっくりと微笑んでみせた。
「ええ、その通りですわ」
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