本当にあったオバケ捕獲の話 ~広島での実体験をラノベ風に書いてみた~
赤月カケヤ
第1話 娘、大地に立つ!
(注意)
#本作は、12月に広島で行われた「おばけキャッチ大会」の体験記です。
#ノンフィクションであるため、登場する個人・団体名は実在します。
#もともと書く気はなかったのですが、ひじき氏やアンディ氏のブログを読んだ娘が、
「なんでパパは書かないの?」「物書きなんでしょ?」「やっぱ嘘なの?」
←いや、プロは依頼がないと動かないもんだよ
「じゃあ、俺(娘の一人称)が依頼するわ。はよ、書けや! 眼鏡割るぞ?」
と優しくお願いしてきたので、書くことにしました。
ですが、実体験を書く場合、登場人物をどうするかという問題があります。
すべての作品がそうですが、キャラの濃さと人間の複雑さは物語をおもしろくします。
広島で会った人たちは本当に素晴らしく常識的な人たちばかりだったため、そのままだと、やや作品向けではありませんでした。褒め言葉です。
僕はどうしても「読んだ人を楽しませたい」という気持ちがあるため、ただの体験記を書くことは困難です。なので、キャラを濃くしようとしてしまうのですが、当の本人にとっては迷惑だったり嫌な気持ちになったりします。
無理かな、と諦めていたのですが、いろいろあって書こうという気になりました。
#上記理由により、登場人物をラノベっぽくしております。できるだけ配慮をしたつもりではありますが、ご不快な方はどうぞ遠慮なく申し付けてください。削除修正を行います。
#どんな作品であっても人を傷つけないのは、基本中の基本です。遠慮はなさらずにお願いします。
本当に皆さん良い人ばかりでお世話になりました。
#最初は書く気はなかったため、メモなどはなく、僕の記憶を元に書いています。細部に勘違いがあるかもしれませんが、ご容赦ください。
#本作は強さを扱うため、強い弱い、上下などの表現を使いますが、決して人格を否定する意図で使用していませんので、ご理解して頂けるようお願いしたく存じます。
<本編>
~強者は孤独である
それは誰の言葉だったか?
娘が「おばけキャッチ」というボードゲームを最初にしたのは3歳ぐらいだったと思う。
「大人も小さな子供も一緒にやっても楽しめる」という記事を見て僕が購入した。
最初は当然、僕が勝っていたのだが、徐々に接戦となり、やがて勝てなくなった。
長年やっていなかったのだが、何かの拍子で再びゲームした際、まったく歯が立たなくなっていた。
そのあまりの強さに、「これ異常じゃね?」と思った。
娘はどれほどの強さなのか?
これは親バカでなくとも永遠の魅力あるテーマである。
強さを競い、それに感動を覚えるのは人の性。
つまり僕は親バカじゃない。Q.E.D証明完了!
ってなわけで、どこかで大会やっていないか調べたところ、博多フレンズフレンズで、おばけキャッチ大会があるとの情報をゲットした。
「娘よ、パパとデートしよう!」
「は? ひとりで行けよ、眼鏡わんぞ?」
最近ツンデレ気味になってきた娘と格闘し、眼鏡を割られながらも、博多フレンズフレンズへ連れていった。
本来のおばけキャッチは対人ゲームで、出された札を見て、該当するオブジェを素早くキャッチする反射ゲームだ。
だけど、博多フレンズフレンズでは人の集まりを考慮して、全60枚の札を該当のオブジェ前に配るという「札流し」の形式で速度を競うことになっていた。
娘の異常さがわかったのは、そのときだった。
「ほ、本因坊……秀策」
まるで『ヒカルの碁』で佐為にコテンパンにやられたダケさんのような顔を、皆が浮かべていた。
そしてこれを読んだ人は、ダケさんて誰だっけ?と思った。
大人の平均が2分30秒、すげえ速い人でも1分30秒が常識。
そんななか、娘のタイムは39秒だった。
赤い彗星よろしく、娘は常人の3倍の速度で動いていたのである。
それから数カ月後、博多フレンズフレンズの2度目の大会では、34秒の記録を打ち立てた。
大会で39秒を出した2位の人となんとかコンタクトを取り、対戦をさせてもらった。
娘が家族以外の者と対戦したのは数回程度。
そして初めての、おそらくは実力が拮抗した者同士の戦い。
果たしてどうのなるのか?
僕は固唾を飲んで見守った。
「ま、参りました……」
2位の人は、力なく言った。
スピード的には5秒の差。だが、枚数的には55枚の差がついての圧勝だった。
神速ボーパルバニー。
それが娘についた二つ名だ。
娘のハンドルネームが飼っているウサギの名前であること、見た目が小動物っぽくてウサギ顔であること、対戦者が自信とともに首を斬られて死ぬこと。
あと口が悪くて、文章で書くとおっさんっぽいこと。
まさにボーパルバニーだった。
「いや、それ言ってるの、お前だけじゃん」
「パパはほら、二つ名とか好きだから」
「中二病かよ」
強者は孤独である。
キッズだから手加減を知らない娘は、気を遣って戦ってくれた相手を完膚なきまでに叩き潰した。
「もう勘弁してください」
まるで尻の毛まで抜かれた債務者のように、対戦相手は逃げていく。
最初は強いことが自慢だった娘も、だんだんと寂しさを覚えていた。
本気で戦える相手がいない。
これがどれほど寂しいことか……。
「俺さ、レベル最大まで上げてボスを瞬殺するのが好きなんだよね」
……。
いや、そうでもないのか?
どっかの元霊能探偵みたいなこと言ってるぞ?
サイコさんなの?
広島で日本一を決める、おばけキャッチの大会がある。
僕がそんな情報を入手したのは、ちょうどそんな時だった。
すぐさま出場の手続きをして、決戦の日、僕たちは広島へ向かった。
そして……、
「え? どこに行けばいいの?」
僕たちは道に迷っていた……。
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