Letter in a Bottle with Love ~WK~
零
第1話
汝、その時を知れ。
一つの時代はやがて終わりを告げる。
それはただの必然である。
夜の次に朝が来るように、閉じた円環は再び回り始める。
円熟に固執するならやがて生まれるのは腐敗であり、緩やかな退行である。
維持することに血道をあげてはいけない。
変化を恐れてはいけない。
世界は飽かずその姿を変え、我らの与り知らぬ先へと進む。
我らはその世界と共に在り、その世界と共に変わってゆかねばならぬ。
先の読めぬことは常に恐怖を伴うが、我らは共に手を取り、その恐れに立ち向かうことが出来る。
朝日の昇る方角へ馬の鼻先を向けよ。
自らの光を確かに見つめ、その先を思い描け。
これまでの長き時の中で、我らはその先を生きる力を十分に蓄えた。
ここで為すべきことは全て終わったのである。
古き時代に既に不要となった自らの殻を脱ぎ捨て、新たな自分になって先の時代へ。
世界もまた産声を上げたばかり。
生まれたばかりの穢れなき大気に包まれて、新しいものが生まれ来る。
汝、その時を。
Letter in a Bottle with Love ~WK~ 零 @reimitsuki
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