第2話・流れ星とアイス
朝起きてまず思う事は暑いという事。毎年記録更新の暑さ。
喉乾いた。
冷蔵庫から水出しほうじ茶を飲みながら昨日の事を思い出す。
不思議な人だった、スターダストさん。
というか変な人だった。本当に大学生なのかな。
私は親がいないから、どこかへ行った母親じゃなくて死んだ父親のおじいちゃんおばあちゃんの家に住まわせてもらってる。
今2人は散歩中かな。仲は結構良い。
学校行かなくても何も言わないし、夜出かけても何も言わない。
それが優しさなのか無関心なのかそれは分からない。
何も言われないのはどうあろうと私に関心があまりないからかもしれない。
私も特にそこら辺を気にして傷ついたり、泣いたり、気にしたりはしてない。
・・・・暑い。蝉の声が響いてる。
お腹空いたなぁ。
また冷蔵庫を開けておばあちゃんが作ってくれた煮物(冷たいまま)と冷凍のご飯(これはちゃんとレンジで温める)を食べる。
今日は何をしよう。
何にも思い浮かばない。
こういう時思う。私は何で生きてるんだろう。
外を見る。
空が青い。
綺麗な入道雲。
響く蝉の声。
黒のハッキリした影。
ジワジワと肌を焼く熱気。
首から胸を伝って流れる汗。
脳が活動を止める。
私は何がしたいんだろう。
何で生きてるんだろう。
・・・・・・。
答えのない事を考えてしまった。
アイス買いに行こうっと。
外に出る。コンクリートからの容赦ない熱。
暑い暑い暑い熱い。
昨日と同じコンビニに行く。
あ、昨日あげたチョコミント買おう。
チョコミントアイスとチョコミントのお菓子を買い店を出る。
チョコミントは至高。
そういえば昨日のナンパはどうなったんだろう。どうでも良いけど。
「あ、ラブちゃん」
帰り道、声をかけられる。
スターダストさんだ。
「あ、覚えてた」
「忘れないって言ったじゃない」
「多分って言ってたから」
「そうだっけ??」
そこは忘れてるのか。
「スターダストさんってこの辺の人?」
「うん、この先にこう四角い建物あるじゃん」
「この先だと、駅??」
「そうそれ。その隣の何か部屋がいっぱいある、本もある所」
「ネカフェかな」
「そうそれ」
忘れるってレベルがやばい。もう忘れてるっていうか知らないんじゃないか?
「ラブちゃんは何してるの?」
「アイス買いに来た。あ、ヤバ溶ける。ちょっとそこの公園で食べても良い?」
「私が食べようか?」
「嫌だよ」
私たちは近くにあるこぢんまりした公園に行きベンチに座る。
「危なかった、まだ固い」
「あーーーーー」
スターダストさんが思いっきり口を開けている。
「・・・・・美味し」
「あーーーーー」
「・・・・・美味し」
「あーーーーー」
「・・・・・・・」
「君には人の心はないの?」
「無いみたいです」
「あーーーーーーー」
粘るな。仕方ない。
「はい、あーん」
チョコミントを食べたスターダストさんはすごく嬉しそうで美味しそうな顔をした。
「綺麗ですね」
思わず声に出してしまった。
「ラブちゃんのが綺麗だよ」
即座にそう返ってきた。
「まぁ・・・ありがとうございます」
「反応が薄い・・・・言われ慣れてる?」
「いえ特には」
綺麗な方ではあるんだろう。特に容姿で苦労したことはないから。
どちらかと言えば中身に問題があるから私は。
外見なんて。
「私なんて中身がないからね、外見くらい良くなきゃ」
中身がない?記憶じゃなくて?つくづく不思議な人だ。
変な人じゃなくて不思議な人。
「暑いねー」
「そうですねー」
空は青く、雲は流れて、太陽は眩しく、アイスは美味しい。
生きる意味を探す。
探してる内に終わるのかな。
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