第3話・流れ星とカケラ

「生きる意味?難しい事考えてるねー」

「難しいですよねー」

私達はまだ公園のベンチにいた。アイスはとっくに食べ終わっている。

「特にやりたい事もないし、誰かに期待されてる訳でもないし、社会の役に立ってないし、でも死にたくもないし」

「何にもないね」

「そうなんです」

少しの静寂。狙ったかのように、虫も車も人もその他の雑音も全てがない瞬間。

「良いんじゃない、何もなくても」

「そうなんですか?」

「そう、人なんて特別考えず好きなように生きて走って燃え尽きるのがいいんだよ。・・・・・流れ星のように」

「流れ星・・・・・」

「ホントにそう!何?自分の事でしょ!」

気付いたらいた。目の前に。

私達が座ってるベンチの前は開けた広場。誰か来ればすぐ分かる。

のに、声をかけれるまで全然気付かなかった。

目の前には赤い髪のボブカットの女の子。

「・・・・知り合いですか?スターダストさん」

「知らなーい。君誰?」

「んー誰って名前の事聞いてるよね?名前かー考えて来なかったなーって何で私の事聞いてるの!?」

また不思議な人だ。また自分の名前が分からない。名前って自分で考えるモノだっけ?

「え!?え!?何で!?ちょっと頭の中見せて!」

頭の中見せてってすごいな。

そう言うと女の子はスターダストさんの頭を掴み本当に中身を見ようと髪をかき分け、頭皮をガリガリとかき始めた。

「痛い痛い痛い痛い痛い痛い」

棒読み感がある、本当に痛いのか?

そんなに痛くなさそうだから止めないでおこう。

「うあっ!ホントにないし!」

本当に何かないらしい。

「痛い〜何がないの??」

頭を掴まれながらまだ余裕がありそうにスターダストさんが聞く。

「記憶のカケラ!アナタ、ここにくるまでにか何があったの!?」

「思い出せない」

「そっか、記憶のカケラないもんね。はぁ〜どうしよう」

深いため息をついてスターダストさんの隣の空いてるスペースに座る。

「あー何かごめんね」

「いや、まぁそうもなるかぁ。こっちの落ち度だから、気にしないで」

よく分からない会話だ。

「さぁてどうしよう。アナタどう思う?」

・・・・。

静寂。

静寂。

静寂。

私に聞いてるの?

どうって言われても何も分からんもん。

「あーカケラ集めたら良いんじゃないでしょうか」

当たり障りなく言う。

「だよね、これから大変ね。お互い」

「ご迷惑おかけします」

ん、これ私も一緒に集める感じになってないかな?

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