第3話 肩透かし

 その病院は平日でも混み合っていた。


 受付で紹介状を渡し、ギャン泣きする子供の横で待つこと約30分。

 名前を呼ばれたので診察室に入る。



(このあと手術日を決めるんだよなぁ。怖えなぁ)


 そんなことを思っていると、目の前の医者は



「じゃあ、とりあえずレントゲン撮りましょうか」


 なんて、予想外の言葉を投げかけてきた。



「え? あ、はい」


 もちろん素直に従う。


 症状とかって紹介状に書いてあるもんじゃないのかな?

 でもまぁ、病院が変わればレントゲンも撮り直すか。

 歯医者もそうだしな。


 そんなことを思案しながら、看護師に誘導されるままレントゲン撮影へ。 



「じゃあ次はアレルギーの検査をしますね。こちらの中で調べたい項目はありますか?」


 なぜアレルギーの検査が必要なのかを看護師に尋ねてみると、「症状の程度や慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎などの合併症の有無を調べる検査を行う必要があるんですよ」と教えてくれる。


 説明に納得した俺は検査項目一覧に目を落とす。

 自分がアレルギー持ちであることは知っていたので、せっかくだからと他の気になる項目をチェック。


 中学の時に受けた検査では、ハウスダスト、ダニ、猫だったような気がする。猫好きだし、家でも猫を飼ってたから、事実を知った時はちょっと泣けた。


 って感傷に浸っている場合ではない。

 とりあえずは普段よく食べる食品にチェックを入れておいた。


 血液検査だったので血を抜かれてその日は終了。

 執刀医がこの日は不在だったため、再度執刀医がいる日に通院することになり、その時に今回の検査結果も合わせて教えてもらうことに。


 あー、まだモヤモヤする日が続くのかぁ。

 早く決めて早く終えて、早く楽になりたい。

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