第9話 真ん中
翌日。12月9日(土)
鼻の痛みがだいぶ治まって、適切な状況判断ができるように。
午前中は通院し、ガーゼを取り換えてもらうが感覚は変わらず。
帰宅。
熱はまだ高い。38.1℃。
そして恐れていたことが現実になった。
「右目の眼球を上に動かすと……痛い?」
眼球に傷でもついてしまったのだろうか。
とりあえず明日病院に行ったら医者に聞かなければ。
意識がはっきりしてきた分、さらに暗い気持ちになったのである。
*
3日目。12月10日(日)
今日も通院。医者に「右目の眼球を動かすと鈍い痛みを感じるんですけど」と伝えると、「それはガーゼが目の近くまで入ってるからだね」とこちらの顔も見ずに回答。
いやいや、お前の医療ミスちゃうんか?
と、思わず関西弁でツッコんでやりたくなる衝動をグッと堪える。
やっぱり、信頼関係を築けていない医者に手術してもらうと疑うところから入っちゃうからダメだよね。
まずは近いうちに眼科に行って原因と視力などへの影響について確認しなければと心に決める。
相変わらず鼻にはガーゼがパンパンに入っていて、鼻も横に倍近く広がっている。
顔も腫れていて、特に頬はこぶとりじいさんのように今にも落ちそうだ。
たまご型だったはずの輪郭はペヤングのような四角に。
*
4日目。12月11日(月)
今日まで有休を取っているが、明日からは仕事に復帰。
不安な思いに駆られながら通院。
この日初めてガーゼを抜き、スポンジに取り換えてもらう。
その時、鼻の真ん中で息ができることを感じる。
そっか、普通はこんなところから息が吸えるのか
俺は今まで鼻の端っこで息していたんだな
初めて手術を受けてよかったと思えた瞬間だった。
結局、すぐに血や鼻水が垂れてきて、家に着く頃にはガーゼを詰めたけど、昨日までと比べたら息苦しさは大幅減。
これなら明日からの仕事も何とかなるかも――
そんな希望が持てた一日だった。
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